高級自動車メーカーの独メルセデス社が、2023年12月から米国内で自動運転レベル3(条件付き運転自動化)が可能な車両の販売を既に開始しており、現時点でカリフォルニアとネバダの2州で計65台がDMV(道路管理局)に販売登録されていることがこのほど判明した。
個人向けレベル3自動運転車の販売としては、メルセデスがアメリカ勢を出し抜いた形。テスラですらレベル3は展開できておらず、同社を率いるイーロン・マスク氏に先行した形だ。
■Drive Pilotを2車種で展開
メルセデス社がレベル3自動運転機能「Drive Pilot」をオプションとして付帯して販売しているのは、同社のEQSセダンとSクラスの車両だ。特定の条件として事前に同社が認証している高速道路、かつ時速40マイル(時速約64キロ)以下で走行する場合であれば、ドライバーは運転をシステムに完全に委ね、目を休めたりハンドルから手を離すことが可能だ。
このDrive Pilot機能、システムでの操作や安全性にも配慮されていると評判だ。アクティベートのオンやオフは非常に簡単で、ハンドル横に表示されたボタンで初期化などの操作を行うことができる。
レベル2からレベル3に切り替わったときは注意喚起のために車外ライトが緑色からターコイズ・ブルーに変わるほか、内部のカメラはドライバーも監視し、もしスマホに夢中になったり居眠りしたりした場合にはモードを切り替えるよう警告を発する。
【参考】関連記事としては「自動運転レベル3、メルセデスが「青緑色の光」を作動中の目印に」も参照。
■料金は年間2,500ドル(約38万円)
カリフォルニア、ネバタの2州のみで販売されているDrive Pilot機能。サブスク形式で展開され、価格はなんと年間2,500ドル(約38万円)。メルセデス社は同じ機能をヨーロッパではすでに販売しており、販売価格は3年間で総額5,000ユーロ(約82万円)だ。
■マスク氏はこのままリードを許す?
テスラは「完全自動運転」(Full Self-Driving)という英語を略した「FSD」という運転支援ソフトを有料展開している。ただ、自動運転レベルは「レベル2」にとどまっている。
一方、一般車両ではなく、移動サービス用の車両としては、Google系のWaymo社やGM Cruise社などが自動運転レベル4(高度運転自動化)を展開できている。ただ移動サービス用と一般車両では、管制センターによる監視の有無などもあり、単純比較はできない。
いずれにしても、レベル3の個人向けの自動運転車の販売では、メルセデスがテスラをリードする格好となっている。今後もマスク氏はメルセデスにリードを許し続けるのか注目だ。
【参考】関連記事としては「イーロン、自動運転EV断念のAppleに「敬礼とタバコ」 テスラに追い風、感謝示す?」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)