自動運転技術といえば乗用車やタクシー、バスへの搭載に注目が集まっているが、搭載先の選択肢としてはダンプトラックも考えられる。
日野自動車と大林組は、自動自律建機などとレベル4相当の自動運転ダンプのDX施工に向けた実証実験を、実際のダム建設現場で2023年12月までの4カ月間実施したことを発表した。
【参考】関連記事としては「自動運転レベル4とは?車種一覧、市販車はある?いつ実用化?」も参照。
■知見を集結、自動運転ダンプを実用化へ
日野自動車と大林組による実証実験は、岐阜県可児郡八百津町と御嵩町にまたがる新丸山ダムで行われた。両社の知見を集結させることで、自動自律建機などと自動運転ダンプの実用化に向けて取り組んでいる。建設現場における共同での実証実験は、2020年11月に実施以来2度目になったという。
今回の実証では、自動自律建機や自動運転ダンプ、有人運転建機、有人運転ダンプを、大林組の開発する建機フリートマネジメントシステム下で管制し、掘削積込みから運搬、敷きならし、転圧までの盛土工事について計画から品質管理まで全自動化した実現検証を行った。
なお「建機フリートマネジメントシステム」は、建設機械施工の省人化(遠隔、自動・自律化)の観点から開発したもので、複数台の建設機械が連動して協調運転するよう制御するシステムのことだ。
■自動運転ダンプで土砂運搬
今回の実証実験では、自動運転技術を搭載した大型トラック「日野プロフィア」1台が導入された。外部指示に基づく自動経路生成や他車両との相対位置把握、高精度な正着制御を新技術として搭載しているという。
一般道を含まない限定領域内で、無人走行を想定したレベル4相当の自動運転により土砂運搬を行うという内容であった。
具体的な流れとしては、荷積みエリアでは無人の自動自律建機が、自動運転ダンプに土砂を積み込んだ。ダンプの後退は誘導員がいなくても最適な位置に高精度で停止可能で、規定量の土砂を積み込むと、ダンプは走行をスタートする。
荷下ろしエリアでは、ダンプは白線などのガイドなしで自律走行により入退場する。指示した荷下ろし位置で自動で土砂をおろし、自動自律建機が敷きならし、整地するという内容であったようだ。なお安全のため、自動運転ダンプにはシステム監視者が乗車した。
建機フリートマネジメントシステムが、自動運転ダンプや自動自律建機との連携を全て遠隔指示でコントロールした。
■日野が無人化施工の実装を目指す
日野自動車は、今回の実証の結果を踏まえて実用化に向けた検討を進めるとともに、自動運転トラック複数台が連携する無人化施工の実装を目指すという。
同社は、物流業・建設業が直面する課題の解決や持続可能な社会実現のため、CASE技術の活用や顧客・パートナーとの共創によるソリューションの更なる深化を推進している。今後の実用化に向けての取り組みにも注目していきたい。
【参考】関連記事としては「日野自動車と自動運転」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)