米GM傘下で自動運転車を開発しているCruiseの幹部が「我が社の車は注意散漫にならず、飲酒運転もせず、制限速度や道路上の規則を全て守ります」と発言している。
米メディアに語ったもので、米国ではまだドライバーレスの自動運転車は信用されていないが、Cruiseの自動運転車は人間による運転より安全だと訴えている。
■「生命を脅かすけがや死亡事故」はゼロ
この発言をしたのは、Cruiseのグローバル政府業務部門のバイスプレジデントであるPrashanthi Raman氏だ。同氏は、Cruiseの自動運転車がドライバーレスで100万マイル(約160万キロ)以上走行しても「生命を脅かすけがや死亡事故」は起こしていないことを熱心に主張している。
米国疾病予防管理センター(CDC)によると、米国では毎年約4万人が交通事故により死亡しており、アメリカにおける死因の上位を占めている。また米運輸省道路交通安全局(NHTSA)の調査では、クルマが1億マイル(約1億6,000万キロ)走行するごとに1.34人が死亡しているという。
なお米メディアによると、2022年3月に行われたある調査では、米国の成人の63%がドライバーレスカーに乗らないと回答し、45%が自動運転車と同じ道路を走行するのが不快だと回答したという。
■「2分もしないうちに慣れる」
Cruiseは人間にクルマの運転をさせないことで、交通事故死者数を減らすことができると強く信じている。
Raman氏は、自動運転車に対する社会受容性を高めるために努力しているとも語っている。例えば、Cruiseの自動運転車と「コミュニケーションをとる方法」を救急隊員に教えているなどしているようだ。どんな方法を伝えているのか気になるところだ。
また同氏は、実際にドライバーレスカーに初めて乗ったときの恐怖心を克服すれば、その恐怖が快適さへと早変わりすると主張している。「初めて乗る人は2分もしないうちに慣れてしまう」と語っている。
■社会受容性の向上もカギ
ただし、Cruiseが全く事故を起こしていないわけではない。2023年3月には、カリフォルニア州サンフランシスコでCruise車がミニバスに追突する事故や、進入禁止テープに絡まり立ち往生するというトラブルを起こしている。
同社の車両が交通渋滞や追突事故を引き起こした3つの事例を受け、2022年12月にNHTSAは安全性についての調査を開始している。
アメリカにおいては、自動運転車への信頼度については現在はまだ課題が残っている状況だ。しかし今後広く普及させていくために、自動運転機能の向上はもちろんのこと、安全性に対しての不安を地道に解消していくことも重要になってくる。
▼Cruise公式サイト
https://getcruise.com/
【参考】関連記事としては「GM Cruiseの自動運転戦略(2023年最新版)」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)