タクシー相乗りアプリを展開する株式会社NearMe(本社:東京都中央区/代表取締役:髙原幸一郎)の第6期(2022年1〜12月)決算が、このほど官報に掲載された。
当期純損失は3億6,908万円、当期までの利益や損失の累計である利益剰余金は9億5,650万円のマイナスだった。第5期決算では、当期純損失は2億6,828万円、利益剰余金は5億8,741万円のマイナスだった。
■第6期決算の概要
貸借対照表の要旨(単位:千円)
資産の部
流動資産 738,858
固定資産 5,489
・資産合計 744,347
====
負債及び純資産の部
流動負債 122,923
固定負債 193,213
株主資本 427,861
・資本金 100,000
・資本剰余金 1,284,366
・・資本準備金 1,284,366
・利益剰余金 △956,505
・・その他利益剰余金 △956,505
(うち当期純損失)(369,086)
新株予約権 349
負債・純資産合計 744,347
■スマートシャトル開発を手掛けるNearMe
2017年7月設立のNearMeは「地域資産と人々のニーズをマッチングするプラットフォームを作る」をミッションに、独自開発のAI(人工知能)を活用したルーティングの最適化技術による次世代型スマートシャトルを展開している。
同社が提供しているサービスには、タクシー相乗りアプリ「nearMe.」のほか、自宅やホテルと空港を結ぶ送迎シャトル「nearMe.Airport」、ゴルフ場への送迎シャトル「nearMe.Golf」、貸切送迎サービス「nearMe.Limo」などがある。
2023年3月には、シリーズBラウンドで約13億円の資金調達を実施した。これまでの累計調達額は約23億円になるという。今後、nearMe.Airportを中心としたスマートシャトル事業のさらなるマーケティング投資により、サービス認知と利用拡大を図るようだ。また引受先企業との協業も行い、多様なシチュエーションでドアツードアによる快適な移動の提供を目指していくとしている。
さらに、より快適な移動体験を提供できるよう、シェアを前提とした新たな送迎車両開発に着手していく予定もあるようだ。
■実証実験にも多数参加
NearMeは、2022年1〜2月に神奈川県三浦市でAIオンデマンド相乗りシャトルの実証実験を、2022年2月には福岡県北九州市周辺と北九州空港間でスマートシャトルの実証実験を行った。
そのほか2022年9〜10月には愛知県の豊田スタジアムで開催されたサッカーの試合において、「スタジアムシェアタクシー」の実証実験を実施したほか、京都や東京、秋田でも実証実験や試験運行を行っている。
2023年4月には、東芝インフラシステムズと東京地下鉄が共同で実施する「様々なサービス提供事業者のスマートフォンアプリで鉄道に乗車することで、『サービス利用+移動』の促進を検証する実証実験」のサービス提供事業者として参画することを発表した。
■NearMeの今後の動向に注目
NearMeは、リアルタイムの位置情報を活用して地域活性化に貢献する「瞬間マッチング」プラットフォームになるべく、シェアリングエコノミーのMaaS領域からスタートしたという。
現在、資金調達や業務提携、実証実験を積極的に行っており、サービス展開エリアも今後さらに拡大していくようだ。これからモビリティのシェアリングサービスはますます需要が高まると考えられている。同社の動向に今後も注目したい。
※官報に掲載された決算公告に関する記事は「自動運転・MaaS企業 決算まとめ」から閲覧頂くことが可能です。
【参考】関連記事としては「MaaSの注目ベンチャーNearMe、最新決算では純損失2.2億円」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)