中国のEV(電気自動車)メーカーであるNIOが、自動運転車の開発で「垂直統合型」のモデルを構築しようとしているようだ。
すでに自動運転向けチップとLiDAR向けチップの自社開発をスタートし、車両製造の上流から下流までのプロセスの多くを自社完結させようとしている。このモデルは、米EVメーカーのテスラが採用する方針・戦略と方向性が一致している。
【参考】関連記事としては「LiDARとは?読み方は?(2022年最新版)」も参照。
■すでにエンジニアチームを組成
一定プロセスを外部委託する方向性の「水平分業型」と異なり、垂直統合型のビジネスモデルは初期の開発コストが増加する傾向がある。しかしメリットもある。製造・開発に関するさまざまなノウハウを自社で蓄積でき、機密性も保ちやすい。
そして何より、自社での開発体制が整えば、事業のスピードアップにもプラスの効果が働く。内製化により「経営陣」と「開発部隊」の距離感が近づけば、当然のことだ。
恐らく、NIOは自動運転車の開発で垂直統合型のモデルを構築することで、車両開発で他社を出し抜きたい考えがあるのではないか。すでに自動運転向けチップとLiDAR向けチップの製造を担当するエンジニアチームを組成し、メンバーは300人に上っているという。
ちなみにNIOには、中国の通信機器大手「華為技術」(ファーウェイ)のチップ製造部門出身のエンジニアが2021年に入社しており、その人物がエンジニアチームのリーダーを務めているようだ。
■2024年には市販車に搭載開始か
報道によれば、現時点ではまだチップの設計段階で、生産開始には至っていない。一方、2024年には市販車への搭載を計画しているという情報もあり、2023年はさらにエンジニアチープの人員を増やし、生産開始に向けて動きを加速するものとみられる。
中国のEVメーカーの販売台数で上位に位置するNIO。今後の動向に引き続き注目だ。
【参考】関連記事としては「中国NIOの自動運転機能「NAD」、新SUVのES7に搭載」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)