ホンダに米国から「自動運転車」届く 無人タクシー実現へ試験開始か

GMのBoltをベースとした「クルーズAV」

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ホンダはこのほど、自動運転車「クルーズAV」が栃木県宇都宮市の拠点に到着したと発表した。日本初上陸となった同車両を紹介する動画では、日本仕様のラッピングが施され、走行準備は万端なようだ。

ホンダは自動運転モビリティサービスとして無人タクシーの実現を目指しており、そのための走行試験にクルーズAVが活用されるようだ。

■ホンダ・クルーズ・GMがタッグ

クルーズAVは米GMのBoltをベースとした自動運転車両だ。ホンダ、GM Cruise(クルーズ)、GMの3社は2018年10月に資本・業務提携関係を締結し、2021年1月には、日本における自動運転モビリティサービス事業に向けた協業を行うことで基本合意している。

2020年代半ばまでに、3社が共同開発している自動運転モビリティサービス専業専用車両である「クルーズ・オリジン」を日本市場に導入することを目標にし、宇都宮市・芳賀町の公道で地図作成車両を使用した高精度地図の作成を行ってきた。

今回クルーズAVが上陸したことで、いよいよ走行試験が行われることとなる。

■「社会」「安全」「環境」に貢献

ホンダのプロジェクトの責任者は、自動運転モビリティサービスを展開する意義について、社会・安全・環境の3つの観点において貢献できると説明している。

観点①:社会的観点

慢性的な渋滞、高齢化による労働人口減少による職業ドライバーの不足、高齢者の免許返納による交通弱者の増加など、地方、都市問わずに交通を取り巻く問題に対し、自動運転は不可欠な存在となる。

新しい移動手段の提供により、日本の都市の活性化や地方の交通課題の改善、解決へつなげる役割を担っていると言えよう。

観点②:安全面

ホンダは「2050年に全世界でホンダの二輪・四輪が関与する交通事故死者ゼロ」を目標に掲げている。自動運転車の普及によりヒューマンエラーをなくし、交通事故のない社会づくりへつなげたい考えだ。

さらに、移動手段の選択肢を広げることで社会参画への格差を少なくするなど、より安全で自由な移動の実現を目指している。

観点③:環境

EVをベースとして活用するため、移動の効率が上がり、政府が掲げる「2050年カーボンニュートラル」への貢献が期待できる。持続可能なクリーンな社会をリードするサービスとなりそうだ。

■次のステップは日本に適したシステム構築?

自動運転車導入にあたり、何より大事なポイントは安全性だ。クルーズは2020年にカリフォルニアで120万キロ超の自動運転実績があるほか、2022年2月にはサンフランシスコで自動運転タクシーサービスを開始している。

しかし、日本で使用できるようにするためには、日本の交通事情に合ったシステムの改善が不可欠だ。今回上陸したクルーズAVによる日本での試験走行が今後行われることで、日本の交通環境や法律に適応した自動運転技術の開発が進んでいくとみられる。

【参考】関連記事としては「ホンダの自動運転戦略」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)



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