ホンダはこのほど、自動運転移動サービス用の専用車両「Cruise Origin(クルーズ・オリジン)」の東京都心部での展開時期を「2020年代半ば」だと明らかにした。
ホンダがGMなどと開発する移動サービス向け自動運転車がいずれ実サービスで使われるようになるというニュースだが、移動サービス向け自動運転車としては、トヨタも「e-Palette(イーパレット)」を開発している。
果たして日本ではどちらの車両が先に移動サービスで実用化されるだろうか。
■ホンダ:3〜4年後には東京でオリジンが?
ホンダのモビリティサービス子会社であるホンダモビリティソリューションズは2022年4月26日までに、帝都自動車交通と国際自動車と基本合意書を締結したことを発表した。
クルーズ・オリジンを使った自動運転モビリティサービスを2020年代半ばに東京都心部で提供すべく、サービス設計や事業者間の役割、責任分担の在り方などについて検討するという。つまりあと3〜4年すればクルーズ・オリジンを都心で見掛けるようになるのだ。
ちなみにホンダは2021年1月、GMとGM Cruiseの3社で、日本での自動運転移動サービス事業に向けて協業することに合意したと発表し、まずはシボレー・ボルトをベースにしたGM Cruiseの自動運転車を使い、その後、クルーズ・オリジンの活用を目指すとしている。
■トヨタ:事業者や地方自治体と議論中?
一方、トヨタのe-Paletteの実用化はいつだろうか。これまでにその時期は明言されていないと思われるが、2020年12月22日に開催されたオンライン発表会では、次のように語っている。
「e-Paletteを早く市場で見てみたいという応援にも値するご質問かと思います。実際のサービスとしては、来年の東京オリンピック・パラリンピックの選手村での運用を考えております。まずは東京オリンピック・パラリンピックに集中し、その後の展開については、Woven Cityを始め日本各地の様々な場所でe-Paletteを運行したいと考えています。現在、サービス事業者や地方自治体の皆様と議論を重ねているところです」
▼実用化に向け進化したe-Paletteのオンライン発表会
https://global.toyota/jp/newsroom/corporate/34527420.html
2021年の夏に東京オリンピック・パラリンピックの選手村での稼働を終え、現在は「サービス事業者や地方自治体の皆様と議論を重ねている」段階かと思われるが、今回のホンダの発表を経て、もしかすると「ホンダより先に」と社内で目標に掲げているかもしれない。
【参考】関連記事としては「トヨタのe-Palette(イーパレット)とは?自動運転EV、東京五輪で事故」も参照。
■サービス開始の時期に注目
自動運転車を使った移動サービスは茨城県境町や各地の道の駅で始まりつつあり、Originやe-Paletteを活用した移動サービスは、決して非現実的なことではない。注目は、サービスの展開時期がいつになるかだ。トヨタとホンダ、両社の動向に引き続き注目していきたい。
【参考】関連記事としては「トヨタとホンダ、新たな戦い!空飛ぶクルマ、勝つのはどっち?」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)