デジタル庁、「自動運転」へのアプローチ本格化 1回目の将来ビジョン検討会開催

2022年7月までに報告書を作成



デジタル庁は2021年12月10日までに、「自律移動ロボットの運行に関する運用及び管理を行う者が異なる複数の関連する情報処理システムの連携の仕組み(アーキテクチャ)を描く取組」を開始することを発表した。


デジタル庁から依頼を受けたのは独立行政法人「情報処理推進機構」(IPA)で、その中の組織である「デジタルアーキテクチャ・デザインセンター(DADC)」が、ドローンやサービスロボットなど自律移動ロボットのアーキテクチャ設計についての検討を始めた。

2021年12月2日には「自律移動ロボット将来ビジョン検討会」の第1回目を開催している。

■2022年7月までに報告書をまとめる計画

検討会で提出された資料では、自律移動ロボットとデジタルによって人間の作業をただ代替するだけでは、ロボットが活躍する場が限定的になると指摘されている。

自動運転車やドローン、自律移動ロボットを活用して「社会的課題」を解決し、人間の生活を豊かにしていく視点が重要だとされ、将来のビジョンを描きながら必要な取り組みを具体化していくことが求められるという。


今後は、ビジョン実現に必要な機能を具体化し、それらの機能の「協調領域」と「競争領域」に分類し、機能の担い手や関係性をデザインするアーキテクチャ設計を経て、2022年7月までに報告書としてまとめる見通しだという。

ちなみに今回開かれた将来ビジョン検討会のほかに、「ガバナンス検討会」「ドローンアーキテクチャ検討会」「3次元空間情報基盤アーキテクチャ検討会」が設けられ、各検討内容を将来ビジョン検討会にフィードバックしていくという。

■有識者8人で構成される将来ビジョン検討会

自律移動ロボット将来ビジョン検討会は、自律移動ロボットやデジタル、ビジネス、ガバナンス領域の有識者である以下の8人の委員で構成されている。

氏名概要
市川芳明氏多摩大学大学院客員教授/(一社)NEXCHAIN代表理事
稲谷龍彦氏京都大学大学院教授
齊藤裕氏(独)情報処理推進機構デジタルアーキテクチャ・デザインセンター長
柴崎亮介氏東京大学空間情報科学研究センター教授
鈴木真二氏東京大学特任教授/(一社)総合研究奨励会日本無人機運行管理コンソーシアム代表
中村裕子氏東京大学特任准教授/(一社)日本UAS産業振興協議会参与/(一社)総合研究奨励会日本無人機運行管理コンソーシアム事務局次長
羽生田慶介氏多摩大学大学院客員教授
古谷知之氏慶應義塾大学教授/SFC研究所「ドローン社会共創コンソーシアム」代表

デジタル庁がモビリティ分野へのアプローチを本格化させるのは、国民からの期待も大きいためだという。自律移動ロボット将来ビジョン検討会の今後の取り組みに期待したい。


▼自律移動ロボット将来ビジョン検討会の開催について
https://www.ipa.go.jp/dadc/architecture/pdf/pj_report_autonomousmobilerobot_conference_20211202.pdf
▼第1回 自律移動ロボット将来ビジョン検討会 事務局資料
https://www.ipa.go.jp/dadc/architecture/pdf/pj_report_autonomousmobilerobot_doc-appendix_20211202.pdf

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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