テーマパーク跡地がAI自動運転テストに最適なワケ

広い駐車場、伸びた雑草、野生動物…


地域産業の振興などを目的に自動運転車の走行試験を誘致する動きが、北海道で広がっている。







四季に富んだ気候条件と広大な土地を有する北海道は、自動運転に関するワンストップ窓口を設置して積極的な誘致活動を展開しており、自動車メーカーや中核部品メーカーなどのテストコースが全国最多の28コース立地している。

北海道は、さらに開発拠点を増やすため空き地など公道以外の情報収集なども進めており、広い駐車場やゴルフ場、スキー場、テーマ―パーク跡地などに注目が集まっている。自動運転のテストに適した条件とは何なのか。候補の一つであるテーマパーク跡地に焦点をあて、探ってみよう。

■テーマパーク跡地は自動運転試験に適している?

テーマパークはまず敷地が広大で、駐車場も広い。パーク内の各施設をつなぐ道路(歩道)が四方八方に広がり、一般車両が通れる広いものからカートが通れるくらいの幅、小道までさまざま揃っている。アスファルトだけではなく砂利道があったり、上り坂や下り坂もある場合も多い。

見通しの良い場所もあれば、遊具やショップが密集しているような見通しの悪い場所もある。跡地に限れば、伸びきった雑草や荒れ果てたアスファルトや土の路面など、悪環境も備わっている。野生の動物も住み着いているかもしれない……。

こういったさまざまな環境が揃っているテーマパークは、障害物検知や細かな測位技術の研究などにもってこいで、自動運転試験にとって聖地になりやすいのかもしれない。条件が整った公道試験ではできない厳しい環境をクリアしてこそ、人工知能(AI)やセンサーの信頼性が向上するからだ。

■現役のテーマパークにおける活用は?

自動運転の初期段階として、限られたエリア内など限定条件下で実用化に向けた走行実験をおこなうのも通例となっている。広い敷地を持つテーマパーク内の移動にはバスや馬車、レンタサイクルなどが用意されていたりするが、ここに自動運転バスなどの導入を図る動きもあった。

長崎県佐世保市にあるハウステンボスは2016年、来場者などがテーマパーク内の移動に使えるよう、自動運転技術を導入した全自動バスの実験を行ったという。ロボットホテルやロボットレストランなどロボット王国を一つの目玉に据える同園らしい取り組みだ。

安全対策最優先だが、こうした現役のテーマパーク内での活用は試験としてもビジネスとしても十分な可能性がある。こういった点も視野に入れると、テーマパーク跡地での走行試験はより生きたものになるのではないだろうか。

■テーマパーク跡地の活用策を考えてみる

最後に、北海道内のテーマパーク跡地をピックアップし、活用策を考えてみた。

カナディアンワールド(北海道芦別市)=1998年閉園

1990年のオープンから10年持たずに閉園し、施設を再利用する形で市民公園「カナディアンワールド公園」として再出発している。経費の掛かる施設や設備などの運用は大幅に縮小され、事実上放棄されている部分もある。市街地から10キロメートルほどの人里離れた場所に立地し、途中には温泉やキャンプ場などの施設もあるため、自動運転バスなどの公道試験と合わせて活用できるとおもしろそうだ。

1998年に閉園したカナディアンワールド

アドベンチャーファミリー(北海道夕張市)=2006年閉園

財政破綻した北海道夕張市の「石炭の歴史村」の中にあり、石炭博物館や遊園地などがある複合施設で、遊園地は1983年にオープンした。博物館はリニューアルされ今も続いているが、遊園地部分は2006年から閉園している。廃墟化している建物もあるが、近年はアート展示の場として活用されることもある。

ゴーカートコースも残っており、周囲は山に囲まれている。炭鉱の歴史に重点を置いた市の施策で石炭博物館の運営に力を入れていることや、財政上電車やバスなど地域の足に不足が生じかけている点など踏まえ、観光や地域貢献の面も視野に入れると注目が集まりそうだ。

■バブル期の負の遺産を地方活性化の火種に

バブル期にハコモノ事業が全国各地で進んだ日本。各都道府県にはこうしたテーマパーク跡地がいまも点在している。主にテーマパーク跡地があるのは都心部ではなく地方で、跡地を利用した活性化策は地方経済の再興に向けた呼び水となる可能性もある。AI自動運転のテスト地としての可能性を探る北海道などの取り組みに今後も注目していきたい。







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