米ライドシェア大手のウーバー・テクノロジーズとリフトの2020年4〜6月期決算がそれぞれ発表された。4〜6月はまさにコロナ禍の真っただ中であり、外出制限により配車サービスの需要は大きく減少している。
両社の決算の数字から新型コロナウイルスがライドシェア事業に与えた影響などに触れていこう。
■多角化で救われるウーバー!?
ウーバーの2020年4〜6月期決算によると、ライドシェアなどの移動サービス部門の予約数は前年同期比で73%減少している。売上高は約65%減の約7億9000万ドル(約837億円)だった。
一方で料理を配達するウーバーイーツは好調で、予約数は2倍以上に増え、売上高も約2倍の12億ドル(約1300億円)だった。予約数、売上高ともに配達サービス部門が移動サービス部門を初めて上回ったという。
ウーバーは7月、料理宅配で競合する米ポストメイツの買収に合意した。ステイホームが求められる中、ウーバーは飲食店の食事や飲み物以外に、食料品店や薬局などが扱う商品も配達の対象として広げていくことに力を入れている。
ダラ・コスロシャヒCEOは配達サービスについて「贅沢なもの」から「実用的なもの」に人々の認識が変わったことを指摘しており、更なる需要増加を見込んでいる。
■リフトの売上高は前年同期比61%減
ウーバーの背中を追う業界準大手のリフトが発表した4〜6月期決算では、売上高が前年同期比61%減の3億3934万ドル(約360億円)だった。ウーバーと同様、新型コロナウイルスの影響を大きく受け、利用者が大幅に減ったことが原因と考えられる。
ライドシェアの利用者数は前年同期と比べ6割減だった。単価も2%落ち、最終損益は4億3711万ドル(約470億円)の赤字となった。
ローガン・グリーンCEOによると、リフトの7月の乗車数は4月より78%増加し、6月比でも12%改善しているものの、前年比では半数ほどの水準にとどまっているという。本格的に回復するにはまだまだ時間がかかりそうだ。
■ライドシェア一本だと厳しい?!
2社の決算報告から、リフトのようにライドシェア一本だと厳しいことがうかがえる。ウーバーの移動サービスが落ち込む一方で配達サービスが好調であるように、新型コロナウイルスの収束の見込みが立たない今、多角的な事業は必須だ。
【参考】ライドシェアについては「ライドシェアとは? 意味や仕組み、ウーバーなど日本・世界の企業まとめ」も参照。