空飛ぶクルマの「空港」が日本にも!?気になる業務提携

ブルーイノベーションと英Urban Air Port



2022年5月にイギリスでオープンして話題を呼んだ空飛ぶクルマバーティポート(空港)。エアモビリティ向けのインフラ事業を展開する英Urban Air Portが手掛けたパーティポートだ。このパーティポートが日本に上陸することになるかもしれない。


なぜそのような期待感が高まっているのか。日本企業のブルーイノベーション株式会社(本社:東京都文京区/代表取締役社長:熊田貴之)がUrban Air Portと業務提携したことが、2022年6月6日までに発表されたからだ。

ブルーイノベーションとUrban Air Portは、空飛ぶクルマのバーティポートの早期実用化に向けて、バーティポートの共同開発や国内での実証実験を行っていくという。

■「空のインフラ」に挑戦中の企業

そもそもブルーイノベーションとはどのような企業なのか。


1999年設立のブルーイノベーションは、主に複数のドローンやロボットを遠隔で制御し、統合管理するベースプラットフォームを軸にして、点検や物流、オフィス、教育ソリューションを開発している。2016年から国土交通省や東京大学とともに、2つの空のインフラシステムの研究開発と全国での実証を重ねてきた。

1つ目は、ポートの稼働状況やドローンの運行情報をリアルタイムで集約・管理できる、ポート情報管理システム「Vertiport Information System(VIS)」だ。一連または複数の飛行オペレーションを安全に遂行させる役割を担う。

2つ目は、「Blue Earth Platform(BEP)」をベースに開発された「VIS」とドローンポート本体を組み合わせたドローンポートシステム「BEPポート」だ。高精度離着陸機能やポート周辺のドローンの運行管理機能、ポートへの人などの侵入検知機能、ポート周辺の風向・風速情報の管理機能などを備え、ドローンの安全な離着陸を実現する。

■「1日でも早い実用化に向けて」

報道発表によれば、ブルーイノベーションとUrban Air Portは今後、ブルーイノベーションの「VIS」とUrban Air Portの空飛ぶクルマのバーティポートを連結させ、「BEPポート」のラインナップを強化していく。グローバル展開も視野に入れて事業化も検討していくようだ。


Urban Air Portの空飛ぶクルマ向けバーティポート(左)と、 ブルーイノベーションのポート情報管理システム(VIS)画面(右)=出典:ブルーイノベーション・プレスリリース

ブルーイノベーションの代表取締役社長である熊田氏は「ブルーイノベーションは、これまでにもBEPポートのVISを国内外のポートメーカーに提供してきました。本提携もその一環であり、1日でも早い空飛ぶクルマの実用化に向け取り組んでいきます」と述べている。

Urban Air Portの最高財務責任者であるAdrian Zanelli氏は「アーバンエアポートは、日本を非常に重要な市場と位置付けています」とした上で、「今回の協業により、日本そして世界に向けたAAM(次世代空モビリティ)エコシステムが構築できることを楽しみにしています」とコメントしている。

■社会実装への機運が一層高まる

空飛ぶクルマの離発着のためのインフラ整備に取り組む企業は増えてきている。今回のブルーイノベーションとUrban Air Portの業務提携により、空飛ぶクルマの社会実装に向けた機運が一層高まっていきそうだ。

【参考】関連記事としては「空飛ぶクルマとは?」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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