トヨタ自動車のパートナー企業らで構成される団体「協豊会」と「栄豊会」が会員企業に対し、トヨタ役員らへの中元や歳暮、昇進祝いなどを自粛するよう要請していたことがわかった。経費削減を進めるトヨタ側からの申し出に応えた形で、削減の波が長年続く慣習にまで及ぶことになりそうだ。
協豊会、栄豊会はトヨタと取引がある部品メーカーや設備メーカーなどで構成されており、トヨタと会員企業による双方向コミュニケーションの強化・相互研鑚を通じて課題認識を共有し、その実現に向けた活動などを行っている。会員企業は合わせて約350社に上る。
長年、トヨタの役員や担当社員らに中元などの季節の贈り物をしたり、役員昇進時に祝いの金券などを届けたりする慣習があったが、トヨタから両団体に対し経費削減とともに協力会社の負担を減らすため中元などの自粛に向けた相談があり、両団体はこれを受ける形で会員各企業に文書で通知した。
■「コスト削減意識」が関連各社に波及へ
トヨタ自動車の豊田章男社長は「100年に1度の大変革の時代」に向けて自動運転技術やコネクテッド化、電動化など新技術や新分野への投資を拡大するとともに、広告費の削減や原価低減などコストの見直しを積極的に図っていく方針を出しており、この意識が関連各社に波及する形になりそうだ。
なお、自動車業界では取引の透明性を確保するため、日産自動車をはじめ贈り物や接待などを禁止する動きが広がっており、トヨタがこういった慣習に切り込むことで改めて業界全体の動きとして浸透する可能性が高い。
【参考】トヨタのコスト削減方針については「トヨタ、販売・広告予算削減へ 自動運転開発へ注力 豊田章男社長が語る|自動運転ラボ