芝浦工業大学(所在地:東京都港区/学長:村上雅人)の伊東敏夫教授(システム理工学部機械制御システム学科)が2018年7月6日までに発表した新技術に注目が集まっている。自動運転車の「目」とも言われるコアセンサーLiDAR(ライダー)に革新をもたらす可能性もある技術だ。
新技術は、より遠くにあり、かつ広範囲の物体を認識することができる技術で、あまり聞き慣れない「確率共鳴」という現象を活用して開発したという。芝浦工業大学はこの確率共鳴という現象について「ザリガニが外敵や水流の動きを感知する際に用いられる現象です」としている。
この技術を使えば、LiDARがより正確に自動運転車の周辺環境を検知することができ、システムがより安全に自動走行を果たすことができる。LiDARはザリガニのチカラを借りて、より一層の性能向上を果たせそうだ。
【参考】確率共鳴とは、信号に雑音を加えると一定確率で信号が強まって反応が向上する現象のことを指す。ザリガニはこの現象を活用し、より周囲の環境を正確に感知することができる。過去にはこの確率共鳴の実験においてヘラチョウザメに弱い電流を流したところ、より遠くのプランクトンを発見できるようになったという。
■自動運転の「目」LiDAR、開発競争が過熱
LiDARは光技術を活用して車体の周辺環境を検知するレーダーで、自動運転の「目」と呼ばれる。このLiDARを含むレーダーの市場は、出荷額ベースでは2017年は世界で約25億円の規模だったが、2030年には約4959億円まで約200倍に急拡大するという調査結果がある。
LiDARは日本ではトヨタグループの自動車部品大手デンソーなどが開発に力を入れているほか、海外の大手企業やスタートアップ企業も実用化や量産化を急いでいる。
【参考】詳しい市場予測は「急拡大!2030年のLiDAR市場、現在の200倍に 5000億円規模、自動運転車普及で|自動運転ラボ