警察庁は、非常時以外はシステム側が運転操作を担う自動運転レベル3(条件付運転自動化)に関するルール作りなどを加速させる。
自動運転車の実用化に向けては、道路交通法などの改正を含むルール整備が必要となる。警察庁は2018年5月22日、実用化に向けた具体的な課題を検討するため、2018年度に入ってから初となる有識者による調査検討委員会を開催した。海外での視察やメーカーの技術調査などの結果などを踏まえ、今年度中に一定の結論を出す見通し。
政府が用意している自動運転実用化のシナリオでは、2020年までに高速道路などの限定領域でレベル3の自動運転環境を整えることを目指している。限定エリア内においてシステム側が完全に運転の主体となる自動運転レベル4(高度運転自動化)の環境も、2025年をめどに整えたい考えだ。
事故責任は人側? システム側?
特に慎重な検討が必要とされるのは、事故が起こったときの責任の所在だ。
レベル3の自動運転車で運転の主体となるのは、緊急時を除いてシステム側(車側)となる。例えば、AI(人工知能)を搭載したシステム側が運転の主体となっているときに交通事故が起こした場合、車の所有者が責任を負うべきなのか、システムを供給した企業側が責任を負うべきなのか、などについては重要なポイントであると言える。
また実際に事故が起こった場合には、過失について証明するためのデジタルデータが重要な証拠や手掛かりとなる。したがって、事故後のデータ改ざんを防止するための有効な対策などを今後検討していくことも求められる。
またシステム側が自動運転中に、ドライバー(人)にどこまでの動作・行動が認められるのかについても議論する必要がある。スマートフォンの操作や読書、テレビ視聴、飲食…。自動運転モードが作動中に運転者に認められる行動については、調査検討委員会においても大きな論点となりそうだ。
自動車を運転する上で操作に影響が及ぶような行動を取ることは、現在の道路交通法で禁じられている。第70条では「運転者はハンドル、ブレーキ等を確実に操作する」といった安全運転義務が規定されており、第71条では運転中の携帯電話の使用を禁じる規定が盛り込まれている。