自動車部品世界大手の株式会社デンソー(本社:愛知県刈谷市/取締役社長:有馬浩二)は2018年5月17日、自動運転向けミリ波レーダーに関する最先端研究を手掛ける米スタートアップ企業のメタウエーブ社(本社・米カリフォルニア州/最高執行責任者:マハ・アシュール)に出資したことを発表した。
ミリ波レーダーは、ミリ波電波を使って車両周囲の状況を検知する走行環境認識センサーで、ほかの車両や歩行者などの存在を認知するために必要となる。前方の車両との車間距離を保つためにも必須のセンシング技術と言える。
デンソーは既にミリ波レーダーの開発を進めており、対象物を「車両」や「歩行者」と判別する同社の画像認識センサーと合わせ、2018年1月発売のトヨタの最高級ミニバン「アルファード・ヴェルファイア」にもデンソー製ミリ波レーダーが搭載されている。デンソーは今回の出資で自社ミリ波レーダーの性能を一層高めたい考えだ。
【参考】世界市場でデンソーと覇権争いを続けるドイツ企業のボッシュ社も、ミリ波レーダーや画像認識技術、レーザーレーダーであるLiDARの開発を加速させている。詳しくは「デンソーと覇権争う独ボッシュ、米シリコンバレーに自動運転・AIの新開発拠点|自動運転ラボ
メタウエーブ(METAWAVE)社は2017年8月設立。車載ミリ波レーダーやデーター通信アンテナの開発を手掛けており、デンソーの報道発表によれば、レーダー検知範囲の拡大や認識性能の向上、小型化に関して優れた技術を有している。
メタウエーブ社のマハ・アシュール(Maha Achour)創業者兼CEOは、高周波や無線・ネットワーク分野において15年以上の経験を有するアメリカ人女性。マサチューセッツ工科大学物理学科で博士号を取得し、メタウエーブ社の設立以前にも、同分野でスタートアップ企業の立ち上げなどを成功させてきている。
【参考】今回の出資に関する詳しい内容は「プレスリリース」を参照。メタウエーブ社の企業情報は「公式ウェブサイト(英語)」で。
デンソーは報道発表で「これからも今まで培ってきた技術を活用し、ドライバー、歩行者をはじめとする、世界中のすべての人にとって安心で安全なクルマ社会の実現に取り組んでいきます」としている。