トヨタ子会社のウーブン・プラネット・ホールディングス株式会社(本社:東京都中央区/CEO:ジェームス・カフナー)は2021年4月29日までに、配車サービスの米Lyftの自動運転部門「Level 5」を約5億5,000万ドル(約600億円)で買収することに合意したと発表した。
買収によって以下の通り、「人材」「テクノロジー」「グローバル展開」を強化するという。
- 人材:世界トップクラスのエンジニア、研究者、モビリティ・サービスに関する深い専門知識を持つエキスパートから成るグローバルなチームの形成
- テクノロジー:センシング、コンピューティング、ソフトウェア資産に加え、自動運転システム開発に必要な戦略的能力の強化
- グローバル展開:現在ウーブン・プラネット本社が位置する東京に加え、パロ・アルト(米国サンフランシスコ)、ロンドン(英国)へ開発拠点を拡大
このニュースにデジャブ(既視感)を覚える人も少なくないかもしれない。2020年12月にLyftと同じ配車大手の米Uber(ウーバー)の自動運転子会社「ATG」を、米Aurora Innovationが買収しているからだ。
この2つのニュースは自動運転の業界が再編されつつあることを思わせる。
【参考】関連記事としては「自動運転開発企業「Aurora」(オーロラ)を徹底解剖!トヨタとも提携」も参照。
■レベル5買収で1,200人体制の開発チームに
話をウーブン・プラネットに戻そう。ウーブン・プラネットはLevel 5の買収によって、世界トップクラスの研究者とソフトウェアエンジニアなど約300人の従業員を引き継ぐことになる。
これにより「ウーブン・プラネット」「Toyota Research Institute(TRI)」「Level 5」のトップエンジニアで構成される約1,200人の強力な開発チームが出来上がることになる。
ウーブン・プラネットとLyftは、Lyftのシステムと車両データを活用し、ウーブン・プラネットの開発する自動運転技術の安全性と商用化を加速させる協業にも合意している。
■新体制移行で、より「他社」に目が向くように
ウーブン・プラネット・ホールディングスは、トヨタ・リサーチ・インスティテュート・アドバンスト・デベロップメント(TRI-AD)を前身とし、2021年1月に本格始動した。
そして3月には、投資部門のウーブン・キャピタルが第1号投資案件として自動配送ロボット開発の米Nuro(ニューロ)に出資したことを発表している。
以前からトヨタは自動運転関連の企業との協業や投資に積極的だったが、新体制になってよりその姿勢が強まっているように感じる。
【参考】関連記事としては「トヨタのウーブン新体制、自動運転やWoven Cityでアクセル全開 ライブ配信でオープニングイベント」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)