ライドシェア世界最大手の米ウーバー・テクノロジーズは2020年1月24日までに、自動運転車の実証実験をアメリカの首都であるワシントンで実施することを明らかにした。将来的に自動運転タクシーをワシントンで走行させるために、本格的な情報収集に取り組むようだ。
ただ、実証実験には自動運転車が使われるが、当面は人が運転する形でのテストが行われるようだ。安全を重視するためにまずは自動運転車の走行に耐えうる道路データなどを完璧に取得したい考えとみられる。
自動運転車にセーフティドライバーを乗せ、ハンドルに手を添えるなどした状態での実証実験に臨む取り組みについては、各社が積極的にこれまでもその開始を報道発表しているが、自動運転車を人が運転した状態で走行させることについては対外的にあまり公言されていない。「自動運転」の印象があまり感じられないからだと考えられる。
ただウーバーは過去に自動運転車による死亡事故を起こしていることから、ウーバーは「安全」を対外的に特にアピールしたいものとも考えられ、今回こうした慎重姿勢で臨んでいることをあえて報道機関に漏らしたのかもしれない。
■「乗り心地」も検証、自動運転タクシー実用化に向け?
またワシントンDCにおける実証実験では、後部座席には従業員を乗せるようだ。実際の乗客の「乗り心地」に関する検証を行うものとみられ、新たな将来の事業の核として自動運転タクシーを本格的に検討していることもうかがえる。
自動運転タクシーが登場すると、現在は一つのサービスとして人気があるライドシェアの優位性が薄れる可能性がある。自動運転タクシーの方が人が運転するよりも運用コストが抑えられ、将来的にライドシェアよりも運賃が安くなることが濃厚だからだ。
安全をしっかりアピールし、そして実際の安全度自体も高め、ウーバーが自動運転タクシー会社として今後生まれ変われるか、注目だ。
【参考】関連記事としては「ウーバーの自動運転車による死亡事故、経緯や原因などの調査結果まとめ」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)