小田急グループの小田急バス株式会社(本社:東京都調布市/取締役社長:早川弘之)は、2021年10月1日に「暮らしの『町あい所』」をコンセプトとする新たな複合施設「hocco(ホッコ)」を開業すると発表した。
hoccoは、住居や商業、交通の機能を持つ複合施設で、小田急バスにとって初めての試みだという。そしてこの複合施設は、シェアカーとシェアサイクル、バスの乗降場が集まる「交通結節点」という役割も帯びており、周辺地域の交通の利便性向上にも寄与しそうだ。
■シェアカー、シェアサイクル、バスの乗降場を設置
hoccoでは、敷地を囲うように店舗兼住居5戸と住居8戸の賃貸住宅棟が建てられ、敷地内の共有スペースでは、キッチンカーによる飲食物の販売やイベントの開催が想定されている。
そして開業と同時に、敷地内にはバスの降車場が設置されるほか、ホンダモビリティソリューションズのシェアカー「EveryGo」が1台配備され、シェア自転車大手のOpenStreetのシェアサイクリングサービス「HELLO CYCLING」のラックが5台分設置されるという。
冒頭触れた通り、hoccoが多様なモビリティの交通結節点になれば、周辺住民の交通の利便性が高まるほか、hocco内で店舗の運営やイベントの開催を行う人にとっては集客面でプラスの効果が出そうだ。
■大日本印刷の「DNPモビリティポート」にも注目
この「交通結節点」という言葉を、日本で近年よく耳にするようになっている。さまざまな交通手段を一元化するMaaS(Mobility as a Service)という概念の広まりとともに、交通結節点に関する民間企業の取り組みも盛んになりつつある。
例えば、日本国内における交通結節点の取り組みとしては、2021年5月に大日本印刷が発表した「DNPモビリティポート」がある。複数の交通手段やサービスが交わる拠点として機能させ、2022年度から本格的な展開を目指している。実証実験もすでに実施済みだ。
報道発表によれば、オンデマンド型のタクシーやバスを呼び出すことができ、小型モビリティやシェアサイクルの貸し出し状況も確認できるようになっている。将来的には自動運転タクシーや自動運転バスの乗降地点にもなりそうだ。
【参考】関連記事としては「「街の交通結節点」を大日本印刷が開発!将来は自動運転バスの発着場にも?」も参照。
■交通結節点の重要度は今より増していく未来
hoccoやDNPモビリティポートのような交通結節点の設置は、人の往来がある程度多い地域で今後増えていくはずだ。特に自動車の「所有から利用へ」の流れが加速し、高齢者の免許返納も進めば、こうした交通結節点の重要度は今より増していくはずだ。
まずは10月1日に開業するhoccoがどのような展開を見せていくのか、注目したい。
【参考】関連記事としては「MaaSとは?定義や意味は?2021年も各地で実証実験」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)