トヨタ自動車株式会社(本社:愛知県豊田市/代表取締役社長:豊田章男)は2020年8月20日までに、米Amazon傘下のAmazon Web Services(AWS)とグローバルでの業務提携を拡大すると発表した。
Amazonはここ数年、自動車向けのソリューションに力を入れている。今回の提携拡大の目的は、トヨタがモビリティサービス事業者に向けて提供する「モビリティサービス・プラットフォーム(MSPF)」を強化することにあるようだ。
■自動車向けソリューションを強化しているAmazon
自動車向けのソリューションに力を入れているAmazon。2020年1月に開催された技術見本市「CES」では自動車向けソリューションの出展ブースを独立させ、音声アシスタント「Alexa」を搭載したランボルギーニの車両やカナダのEV企業「Rivian」のアマゾン用配送バンなどを展示したことからも、そのことが見受けられる。
また同社は「AWSコネクテッドカーソリューション」を大きく打ち出しており、自動車メーカーやサプライヤーがサーバー管理のわずらわしさを感じることなく、コネクテッドカーのデータを収集、分析する仕組みを構築できるとしている。
一方でトヨタは2016年、外部のモビリティサービス事業者との接続を容易にするシステム上のプラットフォームとして「MSPF」を発表し、それを発展させることを念頭にモビリティサービス事業に取り組んできた。
トヨタは2010年代の前半から「クルマは個人が所有するものから利用するものに変化する」との危機感を持っており、MSPFは外部のモビリティサービスの提供者とオープンに連携し、そのプラットフォームをリードしていく必要があるとして構築された。
■今回の提携で、巨大なトランザクションに対応
今回のトヨタとAWSとの提携拡大により、トヨタのMSPFのビッグデータ蓄積・利用の基盤をAWSのグローバルインフラとAWSプロフェッショナルサービスによって強化し、巨大なトランザクションに対応できるようにする。
この提携拡大の範囲はトヨタ自動車単体ではなく、トヨタグループ全体に広げるというのも興味深い。詳しいグループの範囲は明らかにされていないが、デンソーやアイシン精機などのほか、ダイハツや日野自動車にまでAWSの利用が広げられるとなると、その範囲は軽自動車からトラック・バスまで幅広いものとなる。
ちなみにトヨタは米マイクロソフトと提携しており、2016年にはマイクロソフトと共同でToyota Connected社をテキサス州に設立している。その際は両社でマイクロソフトのクラウドサービス「Azure」を利用してコネクティッド技術で協力するとしていた。
今回の発表ではマイクロソフトとの協業については言及はなかったが、AWSとAzureというライバル同士の2社とトヨタがどう関係を継続していくかも気になるところだ。
【参考】関連記事としては「ついにマイクロソフトも自動運転領域強化!?武器は「Azure」だ」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)