オフィス家具大手の株式会社オカムラは2020年12月29日までに、自社開発したカゴ車輸送タイプの自律移動ロボット「ORV」を使った実証実験を、石川県金沢市に本社を置く物流企業のビーイングホールディングスと共同で開始したことを発表した。
ORV(Okamura Robot Vehicle)は、物流倉庫内の物を動かす・運ぶといった単純作業の自動化・省人化を実現するために開発されたロボットで、2021年6月からの実運用を目指しているという。
実証実験は、ビーイングホールディングスが有する群馬県前橋市の「北関東SCMセンター」と石川県白山市の「白山第3センター」の2拠点に試験的にORVを導入して行われる。
ビーイングホールディングスは総合物流企業として、ロジスティクスのさまざまなサービスを提供している。既存の物流センターで運用や設備を大幅に変更することなく導入効果が期待できるとしてオカムラのORVに注目し、今回の実証実験を行うことに至ったという。
■オカムラの自律移動ロボット「ORV」とは?
ORVは、自己位置推定と周辺や障害物の環境地図作成を同時に行うSLAM技術を用いた自律移動ロボットだ。
報道発表によると、AI(人工知能)を搭載しており、倉庫内にあるカゴ車を自動で認識し、カゴを取ってから目的地まで障害物を避けながら搬送する。カゴ車をけん引するのではなく、片側を掴み上げる「片持ち方式」にしたことで、その場旋回など小回りのきく動作が可能になったという。
また、従来のAGV(無人搬送車)で必要とされる、ロボットの軌道用の床面への経路テープやマーキングなどが不要で、走行軌道設定の自由度が高くなったことも特徴だという。
【参考】関連記事としては「SLAMとは?位置特定と自動運転地図の作成を同時に」も参照。
■貪欲に事業領域を拡大するオカムラを要チェック
オカムラはオフィス家具大手として知られるが、現在は国内外のオフィスや物流拠点、公共施設、商業店舗など、さまざまな空間に関するソリューション提案も展開している。
そして今後、今回発表したORVを活用していくことで、物流施設内のオペレーションの自動化・省人化による生産性の向上を支援していく方針のようだ。事業領域を広げるオカムラの今後の動向を引き続き要チェックだ。
【参考】関連記事としては「物流ロボ、2027年に3兆円市場!崩れる「物流=労働」という常識 自動運転技術を活用」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)