ソフトバンクとトヨタ自動車などが出資するMONET Technologies株式会社(本社:東京都千代田区/代表取締役社長:宮川潤一)。自動運転やMaaSなどを主な事業領域に据えているが、いま医療を絡めた取り組みを強化しているようだ。
MONET Technologiesは2020年11月5日までに、静岡県浜松市における「春野医療MaaSプロジェクト」に参加し、移動診療車や運行システムを提供すると発表した。同社は長野県伊那市での「医療×MaaS」の取り組み実績があることで知られていた。
■「春野医療MaaSプロジェクト」とは
春野医療MaaSプロジェクトは、浜松市が経済産業省の「地域新MaaS創出推進事業」における選定を受け、2020年10月19日から12月下旬まで実施されるものだ。
中山間地域における高齢者の通院や医師不足などの課題を解決するため、モビリティと医療分野を連携させた実証実験を行い、持続可能な地域医療サービスの環境整備を目標に据えている。
今回の実証実験では、春野町の診療所の患者10人ほどを対象に、医療機器などを搭載した移動診療車を活用してオンライン診療を実施する。この移動診療車などをMONET Technologiesが提供する形だ。
具体的には、看護師が移動診療車で患者の自宅付近まで訪問し、医師が車内のテレビ会議システムを通じで遠隔地からでも患者を診察できるかを検証するという。
■ヘルスケアの課題に挑戦するMONET Technologies
MONET Technologiesは2019年に医療機器などを搭載した車両「ヘルスケアモビリティ」を完成させ、2019年12月から2020年3月まで長野県伊那市が推進する「モバイルクリニック実証事業」において、オンライン診療など機能の有効性を検証するためのテスト運行を行っている。
この車両には、心電図モニタや血糖値測定器、血圧遡行定期、パルスオキシメーター、AED(自動体外式除細動器)などの診察補助機能が搭載され、MONET Technologiesの配車プラットフォームを活用し、効率的なルートで患者を訪問することができることも特徴だ。
現在、高齢化や医療施設や従事者の不足などで適切な診療ができないなど、日本の多くの自治体ではヘルスケアに関して多くの課題を抱えている。MONET Technologiesはこうした課題に挑戦しようとしているわけだ。
移動を便利にするだけでなく、モビリティを活用して新たな価値を生み出そうとしているMONET Technologiesへの注目は、今後ますます高まっていくことになりそうだ。
【参考】関連記事としては「MONET、長野県伊那市と業務連携協定 テーマはMaaSや自動運転 トヨタとソフトバンクの共同出資会社」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)