将来的な実用化に向けた取り組みが世界規模で加速する「空⾶ぶクルマ」。この空飛ぶクルマの実用化に向け、日本国内で新たな包括協定が締結された。
実証実験の実施を内容に含む包括協定を締結したのは、エアモビリティ株式会社(本社:東京都新宿区/代表取締役社⻑:浅井尚)、東京海上⽇動⽕災保険株式会社(本社:東京都千代⽥区/取締役社⻑:広瀬伸⼀)、三重県の3者だ。
今回の提携は、三重県が空⾶ぶクルマを活⽤して「交通」「観光」「物流」などの様々な地域課題の解決を図ることなどが目的。エアモビリティが空⾶ぶクルマが安全に航⾏するための仕組みを提供し、東京海上⽇動は保険制度の設計・開発、リスク分析などを担う。
具体的な連携の内容は次の6つだ。
- 三重県での空⾶ぶクルマを活⽤した実証実験の誘致及び実施事業者への⽀援
- 実証実験・実⽤化に関するリスクアセスメントの実施
- 安⼼して実証実験を進めていくための保険プログラムの組成
- 実証実験を踏まえた空⾶ぶクルマの実⽤化に向けた取り組みの検討
- 実証実験の実施または実⽤化に向けた具体的な取り組みを推進するため、国内外の関係事業者が参画するコンソーシアムの組成
- 空⾶ぶクルマの実⽤化に向けた機運醸成
ちなみに、空飛ぶクルマの取り組みを積極的に推進しようとしている自治体としては三重県のほか、福島県、東京都、愛知県、大阪府などが挙げられる。2019年8月に開催された「空の移動革命に向けた構想発表会」では、この5都府県が構想を発表している。
以下のリンク(経済産業省ウェブサイト内)からそれぞれの都府県の構想が閲覧可能なので、興味がある人は参考にしてほしい。
■エアモビリティ社とはどんな企業?
今回、三重県が絡む新たな包括協定が結ばれたことにも関心が集まるが、3者に含まれるエアモビリティ社がどのような企業か気になった人も少なくないはずだ。
エアモビリティ社は、空飛ぶクルマの販売や関連するインフラの整備、関連サービスの構築など、空⾶ぶクルマの航⾏に関するサービスをワンストップで提供することを目的として2019年8月に設立された会社だ。
イギリスのVRCO社が製造する「フライングカー」や「空飛ぶクルマ」と呼ばれる電動垂直離着型機「eVTOL(イーブイトール)」の日本における独占販売権を所有していて、VRCOの販売代理店として、日本で空飛ぶクルマを販売・提供している。
また、着陸の順番をコントロールする「離発着場誘導システム」、空のナビゲーションシステム「Airナビ、アセスメントシステム」、地震・竜巻・ゲリラ豪雨・ビル火災など、安全に空を移動するにあたってリスクとなる情報を一元的に管理・発信するシステム「安全巡行支援システム」のシステム開発も手掛けており、近年注目度を高めている。
今回の包括協定においては、インフラプラットフォームのコアシステムであるASCP(エアモビリティ・サービス・コラボレーション・プラットフォーム)を⾃社開発し、ナビゲーションシステムや離発着場システムなどと連携させて、空⾶ぶクルマが簡単かつ安全に航⾏できるようサービスを提供していく予定だという。
■空飛ぶクルマの実用化、着実に前進
空飛ぶクルマについては、経済産業省と国土交通省が2018年に取りまとめた「空の移動革命に向けたロードマップ」では、2023年に事業開始、2030年ごろに本格的な実用化を目標としている。
今回のような包括協定による自治体単位の取り組みなどが積極的に行われていけば、空飛ぶクルマの実用化は着実に前に進んでいきそうだ。
【参考】関連記事としては「【資料解説】空飛ぶクルマ、国内の有力7社の取り組みまとめ」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)