滋賀県大津市と比叡山で実施されたMaaS実証実験の結果が、2020年7月1日までに発表された。観光MaaSアプリ「ことことなび」の目標ダウンロード数(2000回)を達成したようだ。
実証実験には、大津市と京阪ホールディングス株式会社(本社:大阪府大阪市/代表取締役社長:石丸昌宏)、京阪バス株式会社(京都府京都市/取締役社長:鈴木一也)、システム開発の日本ユニシス株式会社(本社:東京都江東区/代表取締役社長:平岡昭良)が参加した。
■地域サービスと交通サービスを包括的に提供
この実証実験は大津エリアと比叡山エリアをさらに活性化させる施策のヒントを得るため、2019年11月1日〜12月1日に地域事業者の協力を得ながら行政と交通事業者が一体となって実施された。
具体的には、観光や飲食など地域サービスと交通サービスを包括的に提供し、地域内移動の利便性向上と、誘客や周遊促進への効果を検証した。
期間中に英語と日本語に対応した観光MaaSアプリ「ことことなび」が配信され、アプリ内では大津市内と比叡山の観光地にスムーズにアクセス可能な1日乗車券を4種販売した。
観光案内やルート検索、乗車券エリア内の観光施設で利用可能なクーポンなどを配布し、アプリを使ったスタンプラリーも実施した。
■ダウンロード数は2808件、乗車券販売も目標の1000枚を達成
ダウンロード数は目標の2000件を超える2808件で、乗車券販売枚数も目標1000枚を超える1398枚だった。チケット4種類のうち、比叡山延暦寺の巡拝券がついた3種が人気を呼び、目標の各200枚を大きく超えたことから、比叡山の根強い人気がうかがえる。
旅行形態は「日帰り旅行」が約半数を占めた。近県などから訪れる人が多かったと予想できる。
■全国で進む「観光型MaaS」の実証
既に全国各地でMaaSのさまざまな実証実験が行われている状況だ。
2020年3月には新潟市で1カ月にわたり、MaaSアプリにて路線バスとレンタサイクルの1日乗り放題券の実証実験が実施された。4月には島根県邑南町と西日本旅客鉄道が地方版MaaSとして配車システムの実証実験をスタートしている。
実証実験で得られた結果は非常に貴重だ。より需要のあるチケットを販売したり、アプリの使いやすさを向上させたりすることで、商用化した際に支持を集めやすい。検証結果を活用したさらなる大津市のMaaSの進化に期待したい。
【参考】関連記事としては「大津市と比叡山で観光型MaaS実証 京阪バスや日本ユニシスと連携」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)