MaaSのサービス設計、展開エリアの実態を踏まえよ モビリティ実態調査から考える

「政令都市」と「非政令都市」における違いは?



マーケティングリサーチ会社の株式会社クロスマーケティング(本社:東京都新宿区/代表取締役社長:五十嵐幹)は2020年1月19日までに、全国20〜79歳の男女1800人を対象にインターネットで実施した「モビリティに関する実態調査」の結果を発表した。


最近さまざまな交通手段をサービス上で統合する「MaaS」に注目が集まっているが、MaaSによって移動を便利にするためには、まずは都市や郊外の交通手段に関する正しい課題認識が重要だ。そうした目線でこの調査結果を読み解き、移動に関する課題や実態について考えてみよう。

■自動車免許の保有率、「非政令都市」の方が「政令都市」より高い

調査結果によれば、自動車免許の保有率は「非政令都市」が「政令都市」を上回っている。政令指定都市は非政令都市よりも人口が多く、電車やバスなどの公共交通機関が発達しているほか、駐車場代が高いなどといった理由が考えられる。

政令指定都市に住む人に「普段利用している移動手段への不満点」を聞いたところ、上位3項目に挙がったのはいずれも電車移動に関する点で、「渋滞・混雑」が17%、「移動に時間がかかる」が15%、「座席が空いていない」が12%だった。

一方、非政令指定都市では「移動に時間がかかる」が17%、「渋滞・混雑」が16%、「値段が高い」「駐車スペースを見つけられない」「悪天候時に不便」が10%で、車での移動に関する不満が挙げられた。


普段利用している移動手段についての不満点=出典:クロス・マーケティング社プレスリリース
■「移動制約あり」層は「移動制約なし」層より移動手段に3倍以上の不満

車やバイクなどを保有しない人や自宅から公共交通機関まで徒歩で1時間かかる人を「移動制約あり」とカテゴライズすると、「移動制約あり」の層は「移動制約なし」と比べ、約3倍以上も移動手段に対して不満を持つと回答している。

徒歩や電車で移動することがメインであること、家と公共交通機関までが離れている場所に住むことで不満が生じると言える。こうした不満は安価な乗り合いタクシーなどが登場して利用が促されれば、緩和されることも期待できそうだ。

また、ふだん利用する主な移動手段を「通勤・通学」「食料品・日用品の買い物」「休日に遊びに行くとき」「国内での宿泊旅行」の4つの移動シーン別に確認すると、どのシーンでも「移動制約なし」の層は車移動がメインであった。それに対し「移動制約あり」の層では徒歩や電車がメインだった。

■【まとめ】異なる不満を踏まえたMaaSサービスの設計を

「モビリティに関する実態調査」の結果を紐解くと、都市部と郊外部での移動の実態が浮かびあがる。こうした実態を踏まえることで、都市におけるMaaSと郊外におけるMaaSのそれぞれのサービス設計で、力を入れるべき点を適切に変えることができそうだ。


【参考】関連記事としては「MaaS(マース)の基礎知識と完成像を徹底解説&まとめ」も参照。


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