国土交通省は2021年9月1日までに、2021年度の「日本版MaaS推進・支援事業」として12事業を選定したことを発表した。
内閣府・総務省・経済産業省・国交省が連携した「スマートシティ関連事業」の一事業として6〜7月に公募し、「スマートシティ関連事業に係る合同審査会」での有識者の評価も踏まえて12事業を採択した。
採択された12事業は以下の通り。
- 北海道芽室町:高齢者<過疎>に優しい共生・支援型 芽室MaaS事業
- 群馬県前橋市:MaeMaaS(前橋版MaaS)社会実装事業
- 東京都千代田区(大手町・丸の内・有楽町地区):大丸有版MaaS事業
- 山手線周辺・横須賀市:Universal MaaS〜誰もが移動をあきらめない世界へ〜
- 川崎市、箱根町:川崎・箱根観光MaaS実証実験
- 神奈川県横須賀市、三浦市:観光型MaaS「三浦Cocoon」の実装による分散化・混雑回避事業
- 富山県朝日町:マチ活性化と健康増進を目指し、地域ポイントとLINEを活用した地域生活者向けMaaS実証実験
- 静岡県静岡市:令和3年度 静岡型MaaS基幹事業実証実験
- 京都府与謝野町:京都北部地域におけるMaaS実証事業
- 宮崎県:宮崎県MaaS事業
- 沖縄県:沖縄スマートシフトプロジェクト(沖縄県におけるMaaSの社会実装)
- 沖縄県宮古島市:地域課題解決に寄与する為のあいのりタクシーサービスと観光客向けモバイルチケットを連携融合させたMaaS実証事業
■2021年に新規に選定された事業は3つ
「日本版MaaS推進・支援事業」は2019年度に19事業、2020年度に36事業が採択され、2021年度に選定された12事業のうち9事業は、2020年度に引き続き選定された事業だ。以下、2021年度に新たに選定された3つの事業に焦点を絞り、取り組み内容を紹介する。
北海道芽室町:高齢者<過疎>に優しい共生・支援型 芽室MaaS事業
1つ目は北海道芽室町の事業だ。高齢化が進む農業地域の居住者に対し、市街地への移動や買い物を支援するため、新たにサブスクリプション型の乗合デマンドタクシーなどを導入するという内容だ。
MaaSシステムも開発し、ウェブサービスと電話による予約システム、買い物支援サービス、注文機能、タクシー車内での買物発注機能などをユーザーが利用できるようにするという。サービス開始時期は2022年1月としている。
東京都千代田区(大手町・丸の内・有楽町地区):大丸有版MaaS事業
2つ目は東京都千代田区の大丸有地区の事業で、交通事業者の運行データや混雑データなどをうまく活用し、大丸有地区の魅力を高めようという取り組みだ。
具体的には、公共交通機関の運行状況や混雑状況が分かる「案内ダッシュボード」をウェブで公開したり、エリア内のさまざまな移動手段を案内するMaaSアプリを一般公開したりするという。
サービス開始は2021年12月を予定している。ソフトバンク子会社のBOLDLYなどが取り組みに関わるようだ。
沖縄県:沖縄スマートシフトプロジェクト(沖縄県におけるMaaSの社会実装)
交通渋滞が課題となっている沖縄県では、トヨタのMaaSアプリ「my route」を活用することで、観光客がなるべく渋滞を回避して観光地まで移動できる仕組みをつくる。MaaSアプリで船での移動手段を提案するほか、空港と港を結ぶオンデマンド交通も走行させるという。
事業の開始時期は2022年1〜12月としている。
■内容がブラッシュアップされている印象
数年前に比べ、MaaSに取り組む自治体が格段に増えている。すでに導入事例も蓄積されているため、2021年度の取り組みはこれまで以上に内容がブラッシュアップされている印象だ。
12事業の詳しい内容は以下のページから参照できる。自治体によってコンセプトや取り組み内容がかなり異なるため、時間をかけて読んでも損はない内容だ。
▼国土交通省「日本版MaaS次なるステージへ!~MaaSの社会実装に向けた意欲的な取組である12事業を選定~」
https://www.mlit.go.jp/report/press/sogo12_hh_000232.html
【参考】関連記事としては「MaaSとは?定義や意味、仕組みを一挙まとめ 2021年も実証実験が盛ん」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)