経産省、「物流MaaS」実現に取り組む6事業者を選定 豊田通商など

トラックデータ連携の仕組み確立や輸配送効率化へ

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経済産業省は「物流MaaS」実現に向けて取り組む事業者を公募し、2020年8月3日までに選定結果を発表した。

選ばれたのは豊田通商など6事業者で、各事業者はそれぞれ、以下の3つのいずれかの方向性で取り組みを進めていく。

以下、各方向性における選定事業者のそれぞれの取り組みを紹介していく。

■トラックデータ連携の仕組み確立

「トラックデータ連携の仕組み確立」では、豊田通商が荷主・運送事業者らが抱える課題への対策として、日本版「FMS標準」(※車両運行管理で必要となるメーカー共通のトラックデータの標準仕様のこと)の活用が期待されるユースケースを検討する。

具体的には、複数商用車メーカーのトラックデータを連携する仕組みに加え、運行管理データ項目の特定や形式などの標準API仕様の検討などを進める。

■見える化・混載による輸配送効率化

「見える化・混載による輸配送効率化」に取り組むのは、トランスミッションやカーナビで世界シェアを誇るアイシンAW社と、フォークリフトなどの物流機器メーカーの三菱ロジスネクスト社だ。

アイシンAW社は、深度センサーによる庫内の荷物量空きスペースと配送計画ルート上の積載効率変化の見える化に取り組み、三菱ロジスネクスト社は車両と積荷の位置情報などを連携させることで積載効率の向上を図っていく。

■電動商用車活用・エネルギーマネジメントに係る検証

「電動商用車活用・エネルギーマネジメントに係る検証」に取り組むのは、ミツバ、東京電力ホールディングス、みちのりホールディングスの3社だ。

ミツバ社は、軽貨物EVに必要な性能の検討、経済性を高める際に欠かせないエネルギーマネジメントやオペレーションモデルの構築に向けた実車検証を行なう。

東京電力ホールディングスは業務用車両の電動化に向けて、充電ステーション配置の在り方の検討や充電オペレーションの実証実験などに取り組んでいく。

みちのりホールディングスは、バスの運行管理とエネルギー管理が一体化したエネルギーマネジメントシステムのシミュレーションと技術検証を行っていくという。

■【まとめ】3つの方向性はいずれも重要

物流版MaaSの実現に向け、3つの方向性はいずれも重要なものだ。さらなる労働力不足が見込まれる日本では、物流の効率化は避けては通れない課題だ。今後、選定された各社の取り組みがどのような成果を出していくのか、注目していきたい。

【参考】関連記事としては「【資料解説】「物流MaaS勉強会」取りまとめ、その概要は?」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)



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