米アップル社は2020年3月22日までに、LiDAR(ライダー)スキャナを背面カメラに搭載した新しい「iPad Pro」を発表した。このLiDARスキャナを搭載したことで、これまでのiPhoneやiPadで使えたAR(拡張現実)機能の精度が向上したという。
実はLiDARは「自動運転の目」と呼ばれ、近年は自動車業界でその製品技術が向上してきた経緯がある。そう考えれば、iPad Proの今回の進化は「自動運転のおかげ」と仮説を立てることもできるかもしれない。
【参考】LiDARについては「LiDARとは? 自動運転車のコアセンサー 機能・役割・技術・価格や、開発企業・会社を総まとめ|自動運転ラボ」も参照。
■LiDARって何?自動運転車ではどう使われているの?
LiDARは「Light Detection and Ranging」(光検出と測距)を略した単語で、レーダーの電波を光に置き換えたセンサーのことだ。物体までの距離を計測し、その物体を立体的に認識できることも特徴で、自動車では車両周辺の車や歩行者などまでの距離の把握や形状の3D認識などで活用される。
LiDARスキャナがこのiPad Proに搭載されたことにより、AR(拡張現実)の空間認識の精度を向上させることができたという。具体的には、最大で5メートル先の対象物までの距離や深度を測定することが可能となるようだ。
アップルはこのLiDARを活用した例として、身体機能を評価するアプリや部屋の中を測定した結果をもとにリフォーム後などのイメージをプレビューすることができるアプリなどを紹介している。
■「自動運転のおかげ」でiPad Proは今後も進化
LiDARは自動運転の実現に向けて今後はさらに研究開発が加速し、性能の向上も進んでいく。そうすれば最新LiDARを搭載するiPad Proの機能も「自動運転のおかげ」でどんどん高まっていくだろう。
ちなみに実はアップル社も自動運転に関するプロジェクトを水面下で進めていることで知られる。あまり対外的にはそのプロジェクトについて公言されていないが、カリフォルニア州が公表している実証実績などから、実際にプロジェクトが進んでいることだけは確かであることは分かっている。
ちなみに今回のiPad Proに関する報道発表は「https://www.apple.com/jp/newsroom/2020/03/apple-unveils-new-ipad-pro-with-lidar-scanner-and-trackpad-support-in-ipados/」から閲覧できる。LiDARの関する説明も多くされているので、参考にしてみてほしい。
【参考】関連記事としては「謎多きAppleの自動運転事業、2020年は「台風の目」となるのか」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)