「ホリエモン」こと堀江貴文氏は自身の公式YouTubeチャンネルで2019年9月8日に動画を公開し、この動画の中でタクシー向けやライドシェア向けの車内広告の有望性に言及した。
動画では女優の寺田有希さんが「タクシーって結構やることないから見ちゃいますよね、自然と」って語ったのを受け、堀江氏は「タクシーのいいところは、さらに言うと、お金を持っている人が乗っているから」と語った。
さらに、テレビを見ている人とタクシーに乗っている人を比較して、「テレビを見ている人って文句を言う人が多い。金払わない人ってそういう人が多いから。そういう人たちの所にいってもいいことがない」と指摘し、「(お金を持っている)タクシーに乗っている人たちにリーチするのは、非常に良い」と語った。
その上で車内広告について「(ライドシェア世界最大手の)Uberとかの面をとりたいもんね。なんで、ウーバーやんねぇんだろと思って。これ超ビッグビジネスなんだけど。あれなんでやんないんだろ。気付いてないんだろうな」と語った。
さらに、タクシーでは顔認識や音声認識で広告の言語を変えることができることについても触れ、「タブレットを後部座席にのせることを前提にしたライドシェア」(堀江氏)の有望性についても触れた。
■国内で盛り上がる後部座席向け広告事業
日本国内ではライドシェアは解禁されていないが、タクシーの後部座席向け広告ビジネスが盛り上がりつつある。
例えば、総合PR会社ベクトルの子会社であるニューステクノロジーは、タクシー配車アプリ事業を手掛けるソニー系のみんなのタクシーとともに後部座席タクシーサイネージサービス「THE TOKYO TAXI VISION GROWTH」(GROWTH)を東京で展開しており、今年10月からは地方展開もスタートする。
ニューステクノロジーと自動運転ラボが過去に行った対談では、アメリカではタクシーの行燈(あんどん)にも広告動画を流していることなどがトピックスとして挙げられ、タクシー広告に秘めるさらなる可能性を感じさせた。
【参考】関連記事としては「【対談】満稿御免!好調なタクシー後部座席広告の現在と未来、ニューステクノロジーと自動運転ラボが徹底分析」も参照。
ディー・エヌ・エー(DeNA)もタクシーの後部座席に設置したタブレット端末に動画広告を配信するサービス「Premium Taxi Vision by DeNA」を、2019年2月から正式に提供している。タクシー配車事業では老舗のJapanTaxiも関連合弁会社を通じて動画配信サービス「Tokyo Prime」を展開している。
【参考】関連記事としては「タクシーへ広告掲載!主要な8形態まとめ 激アツは「後部座席タブレット」型」も参照。
■自動運転実現で車中広告市場はさらに拡大!?
車中広告という視点で言えば、タクシーやライドシェアだけではなく、自動運転車にも注目しておきたいところだ。
完全自動運転が実現すると、ハンドルやブレーキが基本的には必要なくなるため、車内の空間デザインの自由度が増す。そして外が見えなくても運転操作に支障が出ない。こうしたことから、窓をディスプレイ化したり、大型ディスプレイを車内に設置することが可能になり、乗っている人に対する広告配信のチャンスが増える。また自動運転車では人が運転をしなくて良いので、これまで運転していた時間がそのまま「自由時間」になり、よりコンテンツと接することができる時間が増える。
スイスの金融大手UBSグループは過去に、自動運転車の広告・サービス市場についてリサーチし、将来的な市場予測をまとめている。その予測によれば、アメリカにおける自動運転車の広告・サービス市場は2030年に4720億ドル(約52兆円)規模に達するという。
【参考】関連記事としては「自動運転車、広告業界が狙うのは運転手が自由になる「584時間」 電通は配信プラットフォーム開発」も参照。市場予測については「自動運転の広告市場、年50兆円規模に googleシェア60%と試算」も参照。
■nommocの「無料タクシーサービス」にも注目
日本国内では福岡のスタートアップ企業である株式会社nommoc(代表取締役:吉田拓巳)が、スポンサーからの広告費で運営する無料タクシーサービスを実現しようとしている。正式なサービス提供に向けたβテストに関する発表もあり、ローンチは間もなくといった印象だ。
堀江氏も注目している車中広告。業界の動きに注目だ。
【参考】関連記事としては「媒体比率でたった3%の「交通広告」に秘めたド級の潜在力とは? 自動運転車両やタクシー広告で躍進」も参照。「nommoc、東京で「無料タクシー」βテストのモニター募集!」も参照。