「口は災いの元」ということわざがある。米EV(電気自動車)大手テスラのイーロン・マスクCEO(最高経営責任者)に、このことわざはピッタリだろうか、それとも当てはまらないだろうか。
少なくともマスク氏のこれまでの大胆な発言は、将来のテスラの株価の急落やブランドイメージの低下などに結びつく可能性はゼロではない。
■マスク氏の大胆発言のその後
マスク氏は2019年4月に開催された技術説明会で、2020年半ばに自動運転タクシーサービス「TESLA NETWORK」を開始し、2020年中に100万台以上を稼働させるという計画を明らかにした。しかし、現時点で自動運転タクシーサービスを開始したという発表はない。
2019年10月には自動運転レベル5の機能を「アーリーアクセス」として2019年内に限定公開できる見通しを立てた。しかし、今のところ限定公開されたという発表はない。
2020年7月には中国・上海で開催された「世界人工知能カンファレンス」において、自動運転レベル5(完全自動運転)が「近く実現するだろう」と語っている。しかしテスラは最近、同社の自動運転レベルは「2」であることを米カリフォルニア州の運輸当局に説明した。
■米議員が連邦取引委に調査依頼
もちろん、口にした目標が実現しなかっただけで、始めから嘘を言おうとしたわけではないのかもしれないし、こうした前のめりな姿勢こそマスク氏の魅力だと感じている人も世界中にいる。
ただし最近では、こうしたマスク氏の姿勢に疑問を投げかける声も強くなってきている。
2021年8月には一部の米議員が、「オートパイロット」や「FSD」(Full Self-Driving)といった呼称が運転手に自動運転など誤解を招き、事故を多発させているとして、FTC(米連邦取引委員会)に調査を求めたことが話題になった。
調査結果によっては、マスク氏の口が「災いの元」になったことになる。結果に注目が集まる。
▼テスラ公式サイト(米国)
https://www.tesla.com/
▼テスラ公式サイト(日本)
https://www.tesla.com/ja_jp
▼イーロン・マスク氏のTwitterアカウント
https://twitter.com/elonmusk
【参考】関連記事としては「名言?迷言?自動運転、テスラのイーロン・マスクCEO発言5選」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)