デンソー、Appleも参入する「スマホキー」で事業拡大!独Lambda:4に出資

多様なモビリティサービスの普及見据え

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自動車部品大手の株式会社デンソー(本社:愛知県刈谷市/取締役社長:有馬浩二)は2020年11月29日までに、高周波測距システムの開発・販売を行うドイツ企業Lambda:4(ラムダフォー)に出資したことを発表した。

この出資により、デンソーは高いセキュリティと利便性を兼ね備えたスマホキーシステム「PaaK(Phone-as-a-Key)」を活用した事業展開を加速する方針のようだ。

■スマホキーに求められる位置特定技術

スマートフォンを車両の鍵として用いるスマホキーシステムは、セキュリティの面から従来の車両専用のスマートキーと同様に正確な位置を特定する技術が求められる。利用者が車両のドア付近にいるときのみドアの施錠や開錠を可能にし、利用者が車内にいるときのみエンジンをかけることができるよう、細かく位置を特定する必要があるからだ。

Lambda:4の技術は、地面や天井など車両周辺の物体に反射しながら、車両に到達するスマホの電波を高精度に検知し、電波が届くまでの時間から正確に距離を測ることが可能だという。

PaaKは、1台の車両を複数の利用者が使うライドシェアや、駐車車両を宅配ボックスとして利用する際の宅配業者向けの認証などに利用することができるという。

■スマホキーに関する国内外各社の取り組み

スマホを鍵として使う取り組みは、国内外で盛んに行われつつある。例えばトヨタ自動車では、専用アプリをダウンロードしたスマホでドアロックを解除でき、かつエンジンを始動するプッシュボタンを押せばクルマの制御が可能となるシステムの実用化を、直営のカーシェア事業「TOYOTA SHARE」において進めている。

車載アンテナメーカーのヨコオは、クラウドから安全に車の鍵の開閉を制御するシステムの開発を2019年7月に発表しており、すでにニッポンレンタカーサービスの「セルフレンタカー」でトライアル運用が始まっている。

海外ではBMWやアップルなどが取り組み

海外では独BMWやアップルなどが開発に力を入れていることで知られる。

BMWは、欧州仕様の新型車両の一部ですでにデジタルキーを採用しているようだ。スマートフォンに専用アプリをインストールすることで、NFC(近距離無線通信)を介して車両と通信し解錠・施錠でき、スマートフォンをワイヤレス充電トレイや専用トレイに置くことで、エンジンを始動できるという。

米アップルは2020年6月、iPhoneをクルマのデジタルキーとするシステムを導入すると発表した。NFC(近距離無線通信規格)を使い、iPhoneをドアハンドルに近づけるだけでドアロックを解除し、始動することができるようになる。

さらに、クルマを共有することも今までの鍵よりも簡単で、どこにいても最大5人までのiPhoneユーザーに対して、iMessageを送るだけでクルマを貸し出すことが可能だという。また、iPhoneを紛失しても、iCloud経由で無効にすることもできるため、セキュリティにも配慮されている。

この機能に最初に対応するのは、2020年夏に北米で発売される予定の2021年製BMW「5シリーズ」だという。このデジタルキーの仕組みは、アップルウォッチも互換性があるという。

■【まとめ】ライドシェアなど見据えスマホキー開発強化へ

デンソーは、2017年にスマホキーに関する特許技術を保有していた米国のスタートアップ企業InfiniteKey社を買収し、2019年にはフォードの「2020 Lincoln Aviator」向けにPaaKを納入している。

今回の出資により、ライドシェアをはじめとした多様な形態のモビリティサービスの普及を見据え、PaaKの開発体制をさらに強化していきたいとしている。将来を見据えたデンソーの取り組みに、引き続き注目だ。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)



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