注目度が高まっている「自動運転タクシー」。日本でも実証実験が行われるなど、実用化に向けて着々と準備が進んでいる。
その自動運転タクシーの「脳」に相当する部分はAI(人工知能)で、自動運転タクシーにおいてはまさに花形的な技術と言えるが、それ以外にも重要な要素がある。車両や電気系統のメンテナンス、車内や車体の清掃、乗客に向けた案内や情報提供などだ。
つまりに自動運転タクシーに関しては、このようにAIが担えない「運転以外」においても、商機があるということだ。例えばタイヤのメンテナンスでもビジネスチャンスがあると考えられる。
住友ゴム工業ではレベル4の自動運転車を対象として、遠隔でタイヤの状態をモニタリングするシステムを構築した。空気圧の異常を検知するとシステム側から近くの整備店に自動的で通知がいき、店舗のスタッフが現地に出向くことができるような仕組みのようだ。
すでに2020年11月に岐阜県岐阜市内の公道で実証実験を行なっているという。
■自動運転センサーの洗浄もビジネスに
住友ゴム工業以外の取り組みとしては、カーナビ大手・クラリオンのビジネスもユニークだ。同社は自動運転車用のマルチカメラ自動洗浄システムを2018年に開発している。自動運転で使用されるカメラが汚れた状態にならないように無人洗浄できる仕組みだ。
ちなみに自動車部品大手の仏ヴァレオ社も、カメラ用、レーザースキャナー用、ヘッドランプに内蔵されたLiDAR用の3種類のセンサークリーニングソリューションを開発している。
このほか、車載ディスプレイも「運転以外」のビジネスの中で有望とされている。自動運転時代には車内の時間を自由に使えることから、エンターテインメントとインフォメーションを組み合わせた「インフォテインメント」の分野が伸びることが確実視されている。
このように、自動運転タクシーについては「運転の無人化」だけに着目していると、商機を逃すことになる。まだ市場は出来上がっていないが、先見性があるアイデアを形にすれば、将来はビッグビジネスとなっていくかもしれない。
【参考】関連記事としては「自動運転、介護業界における活用アイデア 高齢者の移動、重い物の運搬、見守り…」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)