米アマゾンによる自動運転技術開発の米Zoox(ズークス)買収は、無人宅配の実現に向け、アマゾンにとっては大きな前進と言える。ただ同社のもくろみは無人宅配だけでなく、将来の「自動運転タクシー」事業の展開にもあるのかもしれない。
■アマゾンはタクシー事業への参入も狙っている?
Zooxは米スタンフォード大学出身の技術者らが2014年に立ち上げた自動運転スタートアップだ。これまでに大型資金調達を成功させ、すでにメンバー約1000人の大所帯となっており、アップルやテスラ出身のエンジニアも多い。
英有力紙フィナンシャル・タイムズによると、アマゾンによるZooxの買収額は12億ドル(約1300億円)以上で、IntelのMobileye買収(約153億ドル)には及ばないが、自動運転領域においてもかなり高めの買収額になりそうだ。
アマゾンはEC(電子商取引)世界大手だ。買収によって無人宅配のスタンダード化を実現させる狙いは当然あるとみられるが、自動運転タクシーの高い将来性やジェフ・ベゾスCEO(最高経営責任者)の先見の明を考えると、Zooxの技術を活用してタクシー自動運転タクシー事業に将来参入することも十分に考えられる。
何より、Zooxは自動運転タクシー向けの車両の開発に力を入れてきたという経緯があり、せっかく手に入れた技術を宅配向けだけに活用するのは、客観的にみてももったいない気もする。
■自動運転タクシー展開でEC事業とのシナジーも
EC事業のほかクラウド事業や動画サブスク事業など、幅広くサービスを展開するアマゾン。自動運転タクシー事業に参入しても不思議はない。
自動運転タクシーを貨客混載で使えば、EC事業とのシナジーも出てくる。アマゾンの今後のZooxの「活用方法」に注目したいところだ。
【参考】関連記事としては「Amazon、加州の自動運転実績6位のZoox買収!無人配送へ前進」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)