テスラの自動運転、「動物の回避率」99.9%に到達?

イーロン・マスク氏がXで言及

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テスラの自動運転は、動物との衝突回避にもしっかりと力を入れているようだ。あるテスラオーナーが、FSDが動物との衝突を回避するまとめ動画を作製してXにアップしたところ、イーロン・マスク氏がこれをリポストし「テスラは、自社の車が動物を轢かないようにするために多大な努力を払っている」と語った。

道路交通における不測の事態は、歩行者や自転車の急な飛び出しだけではない。野生動物の存在も無視できず、国内外問わず毎年相当数の衝突事故が発生している。

100%の対応は難しくとも、安全な自動運転を実現する上で動物対策は欠かせない。テスラの例を参照しつつ、自動運転×動物の実態に迫る。

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■テスラの動物対策の概要

マスク氏「動物を轢かないよう多大な努力をしている」

テスラオーナーのSawyer Merritt氏は2026年4月、道路に飛び出してきた野生動物などをFSDが回避するシーンをまとめた約8分間の動画をXにアップした。

Merritt氏は「毎年3億5000万頭以上の脊椎動物が、人間が運転する車両によって命を落としている。一般的に、自動運転車は人間よりも動物を避ける能力に優れている。テスラのFSDが動物のために停車し、しばしば命を救っている場面を集めた動画を作製した」とコメントしている。

動画には、鹿や小鹿、ヘラジカ、ワニもしくはトカゲ、イタチのような小動物など、さまざまな動物が昼夜問わず脇の茂みから急に飛び出したり悠々と道路を横断したりする様子が収められている。

FSDは各動物をしっかりと検知し、おそらくその挙動を予測したうえで余裕をもって車両を減速・停止しているようだ。

この投稿に対し、マスク氏は「テスラは、自社の車が動物を轢かないようにするために多大な努力を払っている」とコメントした。

また、Xユーザーからは、以下の声が寄せられている。

・それは素晴らしい。車両の損傷や運転手の負傷・死亡事故の減少にもつながる。

・私たちにとって、動物の行動は極めて予測不可能。FSDが人間よりも動物の行動を的確に把握し解釈できるという事実だけでも、多くのことを物語っている。もし私たちが同じニューラルネットワークをペットに適用したら、ペットのニーズをより的確に理解できるようになるかもしれない。

・ある時、テスラが突然警告音を鳴らし、急ハンドルを切った。私はパニックになり車を止めた。すると、道路の真ん中に巨大なワニがいることに気づいた。ワニは立っていて皮膚が光を反射しないため、私には見えなかった。もしテスラが反応してくれなかったら、私は巨大な筋肉の壁に激突し、車は横転していた。テスラは、私の命だけでなく友人たちとワニの命も救ってくれた。

・テスラのFSDは動物との相性が抜群。動物を避けるために減速する様子を見て、同乗者の中にはテスラファンになった人もいた。

・私は田舎に住んでおり、一番近い隣人も1マイル以上離れている。私のモデルYは、暗い田舎道の脇の草むらにいる鹿を、私が気づく前に見つけることができる。

肯定的な意見が多数寄せられているようだ。動物との衝突回避は、動物の命のみならず、車両や乗員の安全に直結するため、非常に重要な技術と言える。

テスラのFSDは、人間の目以上に道路や周辺の動物を検知し、その動きを予測したうえで回避行動をとることができるようだ。

自動車と動物との衝突は日本でも年間数十万件発生?

少し古いデータだが、米連邦道路管理局研究開発部門が2008年に発行したレポートによると、米国において道路で轢かれた脊椎動物の総数は年間3億6,500万匹と推定されるという。正確なデータが見当たらないが、哺乳類などに限ると年間150~200万件ほどの衝突事故があるとする推計が散見される。これらの事故に起因する人間のけがは2万件、死者200人弱というデータもある。

▼野生動物と車両の衝突事故削減に関する調査
https://www.fhwa.dot.gov/publications/research/safety/08034/04.cfm

国土交通省によると、日本では直轄国道だけで年間7万件のロードキルが確認されているという(2022年度)。こちらも正確なデータは見当たらないが、都道府県道や市町村道などを含めるとおそらく年間数十万件規模に膨れ上がるものと推計される。

▼道路分野のネイチャーポジティブ|国土交通省道路局 環境安全・防災課
https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/001895947.pdf

出典:国交省公開資料(※クリックorタップすると拡大できます)

その多くはおそらく小動物などで車両側に大きな損傷はなく、事故として届けられることなく動物の死骸だけが確認されているものと思われる。

小動物などの急な飛び出しに対し、急ブレーキ・急ハンドルで制動を失い自損事故を起こした例も相当数発生しているものと思われる。動物と自動車の衝突事故は、決して無視できる規模ではないのだ。

突如出現する動物対応は人間より自動運転の方が得意?

人間のドライバーの場合、道路周辺の動物検知能力に関しては非常に個人差が大きい。クルマの目の前に動物が現れるまでまったく気づかない人もいる。周囲の状況変化や違和感を敏感に察知できる回避能力の高い人もいるが、人間である限り瞬きはするし、前方すべての視野を、ひと時も気を緩めることなく見張り続けることはできない。

しかし、自動運転車のセンサーであれば、瞬きをすることもなく、側方から前方に至るすべての視界を逐一チェックし、オブジェクトの変化を検知することができる。もちろんパーセプション能力の精度に左右されるが、突発的に出現するイレギュラーな存在に対しては、安定した検知能力を発揮するセンサーが人間を上回る。

さまざまなサイズ・色の動物をどのように判別し、学習するかが課題となりそうだが、テスラが採用するエンドツーエンド(E2E)アプローチであれば、明確に各個体を識別する必要はない。特定不能の動くオブジェクトとして捉え、その行動予測のもと衝突を回避するよう制御すればよいだけだ。

その意味では、いかに早期に動物の存在を検知するか……がやはり重要視されそうだ。

テスラは孔雀も回避、しかし鹿には衝突

テスラのFSDはこれまでにも、路上を横断する孔雀を検知して衝突を回避するなど、日本では考えられないレアケースに対応した動画が公開されている。

一方、夜間の高速道路と思われる道路を走行中、道路上にたたずむ鹿をまったく検知できずノーブレーキで衝突してしまう事故なども発生している。鹿は道路とほぼ一体化したような色合いで、カメラ映像でも直前まで確認できない。

E2E技術で先行するテスラでもやはり100%とはいかず、開発はまだまだ道半ばだ。カメラのみでは、背景などと一体化・擬態化したような不動の動物を検知するのは困難なのかもしれない。せめてミリ波レーダーだけでも併用すれば大きく改善させることができそうだが、テスラの場合プライドが許さないのかもしれない。

改善の余地はまだまだありそうだが、現時点で「一般的な人間のドライバーを超えている」と評価する声も多い。現状、FSDはADASに留まることを踏まえれば、相当優秀であることに間違いないだろう。

テスラ、自動運転中に「クジャク」を神回避!でも鹿には衝突

自動運転の高度化に動物対策は必須

テスラが公表している車両安全性レポートによると、北米の全道路を対象とした重大事故の発生は、一般車両が走行距離66万マイルに1回のペースで発生しているのに対し、FSDは530万マイルに1回という。

軽微な事故に関しては、一般車両が22万マイルに1回、FSDは156万マイルに1回としている。単純計算だが、FSDは一般車両平均の7倍の安全水準を誇ると言える。

こうした安全水準は、対車両や対歩行者などに留まらず、対動物の安全設計にも力を入れているからこそ達成できるものと思われる。自動運転化への道においては、対動物の安全性も求められるのだ。

▼テスラ車両安全性レポート
https://www.tesla.com/ja_jp/fsd/safety

■【まとめ】自動運転開発において動物対策は必然

敏捷な動物の飛び出しに対応可能な自動運転システムであれば、歩行者や自転車の急な飛び出しにも対応しやすい。自動運転システムの高度化を図る上で、動物に対応した学習を進めるのは有用であり、必然とも言える。

動物対策は、自動運転開発のステップアップとして避けては通れない道となりそうだ。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)



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