米EV(電気自動車)大手テスラのCEO(最高経営責任者)であるイーロン・マスク氏が、今後1年以内に最大200万台のロボタクシーを運用できる可能性を示唆し、話題となっている。
2025年6月から米国でロボタクシーサービスを開始したテスラ。マスク氏によれば、現在500台以上の自動運転車両が稼働しているという。そして、それが今後毎月倍増していくと話している。つまり500台が来月には1,000台、再来月には2,000台となり、1年後には200万台を超えるという計算になる。
ただし米メディアは、500台もの車両が稼働していることを裏付ける証拠は見つからず、また200万台という数字は現在のテスラの年間の生産能力では不可能だと指摘している。
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■マスク氏「ロボタクシーは毎月倍増する」
テスラは2025年度第4四半期決算説明会を2026年1月28日に行った。その場においてマスク氏はテキサス州オースティンで開始したロボタクシーサービスの成長率について言及した。
ロボタクシーについて「これまでのロボタクシー展開で想定外だった点は何か。また、公的な追跡情報によれば約200台にとどまっているとみられる車両数について、これまでフリート拡大を制約してきた要因は何か」という質問が出た。これに対しマスク氏は、「有料の顧客を乗せて運行しているロボタクシーについて言えば、ベイエリアとオースティンを合わせて現時点で500台は優に超えていると思う。これはおそらく毎月倍増していくような形になる。指数関数的な成長曲線に乗っている」と回答した。
テスラがオースティンで開始したロボタクシーはセーフティドライバー同乗のもとでの運行となっており、本当の意味での自動運転車とは言いがたい。2026年1月に入り、オペレーターが追従車に乗って移動するようになったという情報もあるが、一時的な演出であった可能性が高くドライバーレスでの走行を目撃した人はまだいないようだ。
カリフォルニア州サンフランシスコでもサービスを提供しているが、これもセーフティドライバーありでの運用になっている。そもそもテスラは同州で一般向けのロボタクシーサービスを提供する許可を取っていないため、主に社員向けに限定されたサービスとなっているのだ。そのため一般向けにサービスが提供されているのは実質オースティンのみとなる。
■「1年後に200万台」の根拠とは?
マスク氏が話した「現在の稼働台数500台」という数字は、同氏が2025年の年末までにオースティンで500台展開するという過去に掲げていた目標に基づくものだと予想される。
それが実現しているかはともかく、仮に現在のフリート規模が500台だとしよう。そこから毎月倍増するなら、1カ月後には1,000台、2カ月後には2,000台となる。これを繰り返すと、1年後には約204万8,000台に達する計算になる。
これは、テスラが2025年に製造した車両数を約21%上回る数字になるという。1年後にロボタクシー車両200万台を達成するために今後一般車両の製造をせず、全てロボタクシーにあてたとしても間に合わないことになる。
マスク氏は確かに「double every month(毎月倍増する)」と発言している。大企業のトップが軽々しくこういった発言をするとは思えず、ある程度の根拠があってのことのはずだ。
■FSD搭載車を使うなら可能性あり?
販売済みのFSDを搭載しているテスラ車が、アップデートしロボタクシーとして使えるようになるのだとしたら、200万台という数字に近づくとは考えられる。しかし現実的ではない。
これまで何度も強気な発言で周囲を騒がせてきたマスク氏だが、今回ばかりは最初から実現しないと見る向きが多い。「でも、マスク氏なら、テスラなら、何かやってくれるのではないか」と思ってしまう人もいる。
マスク氏、そしてテスラには、サプライズをきっと起こしてくれるはずだと思わせる、不思議な説得力がある。
【参考】関連記事としては「テスラ向け自動車保険、「自動運転中」は半額に」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)