米Googleのロボタクシー、「2万円観光ツアー」登場

自動運転タクシー×ツアーの相性抜群?

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米サンフランシスコで、Waymo自動運転タクシーを活用したツアーが登場したようだ。Waymoではなくツアー会社が主催する事業で、ガイドと一緒に自動運転車に乗り、ウォーターフロントなどサンフランシスコの名所をめぐるプライベートツアーだ。

少人数のプライベートツアーが隆盛を極める中、自動運転タクシーを活用した新たなツアーサービスが今後シェアを拡大していくことも考えられる。

自動運転車×観光ツアーの可能性に触れてみよう。

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■自動運転タクシーを活用したツアーの概要

ガイドが同乗してプライベートツアーを実施

ツアーは、2024年に設立したばかりのigniToursが企画・実施しており、米オンライン旅行会社のTripadvisorには、「SF by Waymo 自動運転車: 未来的なプライベートカスタムツアー」と掲載されている。

▼SF by Waymo 自動運転車: 未来的なプライベートカスタムツアー
https://www.tripadvisor.jp/AttractionProductReview-g60713-d32996314-SF_by_Waymo_Self_Driving_Car_A_Futuristic_Private_Custom_Tour-San_Francisco_Califor.html

自動運転の電気自動車にゆったりと座ったまま、歩かずにサンフランシスコの絶景を楽しむことができ、ガイドのエスコートのもと、サンフランシスコのカラフルでストーリーのある過去の物語に耳を傾けられるという。

5時間の行程で、ユニオンスクエアやチャイナタウン、ケーブルカー博物館、サンフランシスコ市庁舎、ドロレスパーク、カストロ、ハイト・アシュベリー、ゴールデン・ゲート・パークなど、立ち寄り先は16カ所も設定されている。タクシー移動ならではのフットワークかもしれない。

料金は大人1人2万2,281円で、この内容であれば特別高いわけでもないように感じる。

出典:Tripadvisor公式サイト

igniTours公式サイトによると、同ツアーは1人149ドル(約2万2,000円)で所要時間は5時間、移動距離は12マイル(約19キロ)となっている。

▼igniTours公式のツアー紹介サイト
https://ignitours.com/tours/san-francisco/sf-waymo-self-driving-car

PR文には「地元ガイドと一緒にWaymoの自動運転車でサンフランシスコを探索し、未来の旅を体験しましょう。このプライベートツアーでは、革新的な技術と象徴的な名所が融合し、忘れられない体験が待っています」と書かれている。時間に余裕があれば、特別なリクエストにも応じるという。

igniToursがWaymoとどのような契約を結んでいるのかは不明だが、おそらく貸し切りのような形態で長時間予約し、柔軟に運用しているものと思われる。

同ツアーがスタートしてからそれほど期間が経っていないものと思われるが、オンライン旅行会社のGetYourGuideにはすでに2件のレビューが寄せられており、いずれも5/5の評価を得ている。

ドイツ人観光客は「ユニーク!絶対にお勧めです!ツアーは最高でした!これ以上ないほど素晴らしい!ツアーガイドのダラさんは、私たちの要望に柔軟に対応し、彼女がいなければ見つけることができなかったサンフランシスコのスポットを案内してくれ、歴史などについてもたくさん教えてくれました。ウェイモでのドライブは、とてもユニークで素晴らしい体験でした!このツアーは、その価値以上の価値がありました!サンフランシスコでのハイライトでした」と評価している。

ガイド役の評判そのものも良いようだが、自動運転タクシーという最先端技術で歴史ある名所をめぐるのは、確かにオツで貴重な体験となるのかもしれない。

出典:igniTours公式サイト

自動運転タクシーそのものが観光の目的に

サンフランシスコなどでは、Waymoの自動運転タクシーそのものが観光要素となっている。無人の自動運転タクシーに乗ること自体が貴重な体験となっているのだ。

サービス提供エリアの地元在住民からすれば、自動運転タクシーはすでに市民権を得た存在となっているが、その他エリアの大多数の米国在住民にとってはまだまだ未知の技術であり、サンフランシスコやロサンゼルスに行った際は一度乗ってみよう……という気持ちが働くようだ。

Xでは、Waymoの乗客が「@Waymo is for solo sightseeing(Waymoは一人旅向け)」といった投稿を行っており、Waymoはこの投稿を引用し、Facebookで「Be your own sightseeing sidekick.(あなた自身の観光の相棒になりましょう)」と投稿している。

旅行ガイドブックを発行する地球の歩き方の特派員ブログでも、サンフランシスコ観光の調査をしたところ、おすすめアクティビティに「無人タクシー(ロボタクシー)」を挙げた人がいたという。サンフランシスコとフェニックスでしか運行していないため(当時)、移動手段よりアトラクション的に乗ってみたいという理由だったそうだ。

サンフランシスコなどを訪れた日本人も、アンテナが高い人や好奇心旺盛な人は結構な率でWaymoを体験しているようにも感じる。やはり、Waymoの自動運転タクシーは観光要素の一つとなっているのだろう。

▼地球の歩き方の特派員ブログはこちら
https://www.arukikata.co.jp/tokuhain/259700/

■Waymoによる観光経済効果

Waymoも観光経済への寄与を意識している

Waymoは2025年3月、自社ブログで「ウェイモの観光経済への影響」と題した投稿を行い、観光・経済効果に関するレポートを発表した。

レポートでは、Waymo が事業を展開している都市では、Waymo One がサンフランシスコのアルカトラズ島やゴールデンゲートブリッジ、ロサンゼルスのハリウッドウォークオブフェームなどの象徴的な名所と並んで必見の観光スポットのリストに加わっているとしている。

観光客は、新しくエキサイティングな交通手段を旅行プランに取り入れることに意欲的で、地元の人気スポットを訪れたり、自動運転の旅の様子をソーシャルメディアで共有したりしており、Waymoが促進するこうした観光は、Waymoが事業を展開する都市にとって直接的な経済効果をもたらすとしている。

試算では、サンフランシスコのベイエリア観光に対しWaymoによって直接的、間接的に誘発される年間経済効果は計 4,000 万ドル(約59億円)近くに上るという。商用運用開始 1 年目で、サンフランシスコを訪れた人の Waymo を利用した移動は週平均 10% 以上増加したとしている。

Waymo Oneが移動に新たな刺激を提供することで、事業を展開する都市の観光経済を支える上で重要な役割を果たす。旅行者の間では、Waymo Oneの活用方法をさらに広げたいという関心が高まっており、2024年12月だけでもWaymo Oneアプリでサンフランシスコ国際空港が約1万3,000件検索されたとしている。

現状、まだまだ珍しい存在の無人モビリティとしての価値と、ドライバーレスでコンピュータ制御によるストレスのない移動の価値、そして、冒頭で触れたような他事業者による観光連携など、さまざまな付加価値が経済効果を生み出しているのだろう。

▼Waymoの観光レポート(英文)
https://storage.googleapis.com/waymo-uploads/files/site-media/Blog/Waymo%202025%20Tourism%20Impact%20Report.pdf

■自動運転タクシーのメリット

ドライバーに左右されない一定水準のサービスを提供

ドライバー不在の自動運転タクシーのメリットは、ドライバーの性格や技能に左右されず一定のサービスを提供できる点が大きい。タクシードライバーの中には、不愛想な人や短気な人、必要以上にコミュニケーションを図ってくる人などさまざまな人がおり、状況によっては不快に感じる。走行ルートをごまかし遠回りしようとする人もいるようだ。

しかし、ドライバーレスの自動運転タクシーであれば、こうしたドライバーの性格に左右されることはない。また、ドライバーの技能に左右されることもなく、一定水準の運転技術で事前に確定したルート・運賃で安心して乗車することができる。

人間のドライバーのような柔軟な対応は難しく、到着までにやや時間を要するかもしれないが、安全性はすでに一般車両を上回っている。

出典:Waymoプレスリリース

観光客は移動時間を有効活用できる

こうした車両をプライベートな観光用途で使用する場合、乗客は不慣れで不案内な道を自ら運転することなく移動できる。移動中の時間を有効活用し、目的地や周辺情報を洗いなおすこともできる。

付加機能として、車内に設置されたタブレットで観光関連情報を提供することもできるだろう。プライベート観光×自動運転タクシーは意外と相性が良さそうだ。

運行可能なエリアと観光エリアが結び付いている必要はあるが、時間貸し・貸し切り形態で自動運転タクシーを利用し、プライベートな観光やツアーに活用する動きが将来スタンダードな利用形態となってもおかしくはなさそうだ。

自動運転タクシーのサービス提供事業者サイドとしても、時間貸し・貸し切り形態で新たな需要と収入源を確保する選択肢は当然アリだろう。

自動運転タクシーは既存ライドシェアより割高

無人の自動運転タクシーの価値・評価は、その運賃面にも反映されている。米国では自動運転タクシー=無人ライドシェアサービスとして捉えられることが多く、WaymoとUber Technologies、Lyftが比較されることが多い。

ライドシェアサービスの料金比較などの機能を備えたアプリObiが2025年6月に発表したレポート「The Road Ahead: Pricing Insights On Waymo, Uber and Lyft」によると、サンフランシスコにおける約9万回の乗車の1時間ごとのデータを分析した結果、Waymoが約3~4割割高であることが判明したのだ。

同一時間帯・ルートにおける比較で、Lyftの平均運賃は14.44ドル、Uberが15.58ドル、Waymoは20.43ドルだった。Waymoは、Lyftより41.5%、Uberより31.1%も乗車運賃が高いのだ。

また、ObiはWaymoがサービス展開するフェニックスとロサンゼルスを含め500人以上の乗客を対象に消費者アンケートを実施したところ、回答者の約70%が「運転手付きの通常のライドシェアよりもWaymoを好む」と回答したという。

費用面も考慮した場合、回答者の42.7%がその額によるものの追加料金を支払ってもよいと回答した。回答者の16.3%は最大10ドル、10.1%は最大5ドル、16.3%は5ドル未満を追加で支払ってもよいとしている。

一方、回答者の39.1%はWaymoに対し同額かそれ以下の料金しか支払わないと回答しており、26.8%は全く利用しないと回答している。

出典:First in-depth examination of Waymo’s pricing strategy

なお、米国にはチップ文化が根付いており、それはライドシェアも例外ではない。アプリでキャッシュレス決済するものの、アプリにチップ機能が備わっており、任意で支払う。その相場は10~20%という。ドライバー不在のWaymoにはチップそのものが存在しない。

チップを支払わない人も増えているといい、支払ったとしてもそれでもWaymoの方が割高となる。既存ライドシェアサービスよりも高額なのだ。

割高にも関わらずライド数は急増中

それにもかかわらず、Waymoの乗車回数は2023年後半に累計100万回を突破し、2024年末までに500万回、2025年上半期までに1,000万回を突破した。週あたり25万回のライドがあるという。運行エリアの拡大とともに確実にシェアを伸ばしているのだ。

おそらく、一般人がドライバーとなるライドシェアがスタンダードなサービスとなった米国では、個々のドライバーの性格・技能の差が想像以上に激しいのではないだろうか。

ドライバーと利用者が相互評価するレーティングシステムが導入されているためひどいレベルのドライバーは排除されるが、それでも微妙なドライバーは残ってしまう。

不確定要素の強いライドシェアと比較すると、やや割高ではあるもののサービスの質が安定している自動運転タクシーを選択する――という人が相当数いるのは、自動運転業界としても心強いものだろう。

【参考】ライドシェアと自動運転タクシーの運賃比較については「Googleのロボタクシー運賃、「無人」なのに31%割高 Uberと比較」も参照。

ドライバーやガイドに気兼ねすることなくマイペースで旅を楽しめる

自動運転タクシーの付加価値として、車内サービスの自由度も挙げられる。現状は自分が好きな音楽を流したり車内温度を設定したり――などできることは限られているが、開発側に余裕が生まれればこうしたサービスも拡充されていく可能性が高い。競合他社が育てば、こうした面で差別化を図る動きも活発化するはずだ。

その一つのアイデアが観光用途だろう。冒頭紹介したのは人間のガイド付きだが、開発事業者自ら、あるいはツアー会社が観光案内アプリを開発し、アプリの案内のもと観光地をめぐることができるサービスが実装されれば、結構需要がありそうな気がする。

乗客が特定の観光ルートを選択すると、自動運転タクシーに各目的地が自動で設定され、タブレットによる案内を見聞きしながら周遊するイメージだ。設定時間内であれば、目的地の一部の所要時間(待機時間)をカスタマイズできる機能があったり、飲食店などと連携してランチ付きツアーを実装したりできればなお良い。

自動運転タクシー事業者も、貸し切りサービスによって収益性を高めることができる。観光客は、人間のドライバーはガイドを気にすることなく、マイペースで旅を楽しむことができる。プライベートツアーとマッチする新サービスとして今後シェアを拡大していってもおかしくはないだろう。

■【まとめ】自動運転タクシーの新たな収益源の動向に注目

自動運転タクシー×プライベートツアーのポテンシャルは想定以上に高そうだ。現状、臨機応変な対応やトラブルの際の対応などに課題がありそうだが、こうしたツアー会社の取り組みを通じて新たなデータを収集し、改善を図っていくことも可能だろう。

自動運転タクシーの新たな収益源として、こうした新たな付加サービスの動向にしっかりと注目したいところだ。

【参考】関連記事としては「自動運転タクシーとは?アメリカ・日本・中国の開発状況は?」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)



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