半導体大手の米NVIDIA(エヌビディア)が、ついに本格的な自動運転車向けソフトウェアを正式にリリースし、本格的な量産体制に入ったことをこのほど発表した。
NVIDIAは、この「NVIDIA DRIVE AV(自動運転車)」ソフトウェアプラットフォームと同社独自のハードウェアを組み合わせることで、「AI駆動のモビリティに対する堅牢な基盤」を自動車業界に提供できると自信を見せている。
同社CEO(最高経営責任者)のジェンスン・フアン氏は「これからの10年は、自動運転車やロボティクス、自律型マシンの時代になる」と語っており、今後より一層自動運転化が進むことが予想される。自動運転部門の売上が急成長しているNVIDIAだが、ますます自動運転事業に力を入れていることが分かる。
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■NVIDIAが発表した「NVIDIA DRIVE AV」
NVIDIA DRIVE AVソフトウェアは、モジュール式かつ柔軟なプラットフォームとなっており、自動車メーカーはスタック全体を導入することも、一部の運転支援機能だけを利用することも可能になっている。
同社によると、交通事故の大半は注意散漫や判断ミスといったヒューマンエラーによるものだという。これまでの自動運転の一般的なアプローチは、認識や予測、計画、制御といった機能を別々のモジュールで構成していた。しかしNVIDIA DRIVE AVソフトウェアプラットフォームは、これらの機能を統合しているという。
このプラットフォームでは、深層学習や基盤モデルを用いて、大量の人間による運転データに基づいてセンサー情報を処理し、車両の動きを直接制御する。これにより、事前に定められたルールに頼って動く必要がなくなるのだという。実際の運転データと合成データの両方を活用することで、複雑な環境を人間のような判断力で安全に走行できるように設計されているとNVIDIAは自信をのぞかせている。
▼NVIDIA DRIVE Full-Stack Autonomous Vehicle Software Rolls Out
https://blogs.nvidia.com/blog/drive-full-stack-av-software-europe/
■自動運転レベルは現状「2+から3」
NVIDIA DRIVE AVソフトウェアプラットフォームが現在対応している機能は、周囲認識や自動車線変更、駐車、アクティブセーフティなどがある。これは自動運転レベル「2+」から「3」の車両を対象としており、完全自動運転可能な「レベル5」には対応していない。しかし、NVIDIAは技術や規制の進化に伴い、より高度な自動運転レベルにシームレスに移行できるようにする計画だ。
ただし同社の自動車部門で副社長を務めるAli Kani氏は、かつてインタビューで「真の自動運転車はこの10年のうちには登場しない」と語っている。現在の運転支援システムがあらかじめ定義された行動を計画して動作するのに対し、本当の意味での自動運転車はより自然なふるまいを学習しなければならず、非常に複雑な技術を伴うためといった理由からだ。
【参考】関連記事としては「自動運転レベルの定義一覧【0・1・2・3・4・5の表】|日本・海外の実装状況」も参照。
■CEOは「今後10年で自動運転化は進む」
NVIDIAのCEOのジェンスン・フアン氏は、これからの10年が自動運転車やロボティクス、自律型マシンの時代になると予測しており、同社が自動運転に特に力を入れているのは明らかだ。なお自律型マシン(autonomous machines)とは、AI(人工知能)を活用して学習、適応、進化する機械のことを指す。
今回発表したプラットフォームを補完するために、NVIDIAは自社のハードウェアプラットフォームをPRしている。すでにほぼ全ての自動運転開発企業に採用されているNVIDIAだが、自動運転車向けソフトウェアをリリースしたことで、ハードウェアと組み合わせての売り込みが始まっていくだろう。
【参考】関連記事としては「NVIDIA、自動車部門が急成長!CEO「数兆ドル規模のチャンス」」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)