万博の自動運転バス会社、赤字転落 第6期決算、売上は79%増

北九州市の「EVモーターズ・ジャパン」

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出典:官報

大阪・関西万博の自動運転バスで車両が採用された株式会社EVモーターズ・ジャパン(本社:福岡県北九州市/代表取締役社長:佐藤裕之)の第6期(2024年1〜12月)決算が、官報に掲載されている。

第6期の売上高は前期比79.2%増の80億927万円であった。純損益は第5期の9,576万円の黒字から、第6期は5億4,508万円の赤字に転じた。過去3期の売上高と純損益の推移は、以下の通りとなっている。

<売上高の推移>
・第4期:7,691万7,000円
・第5期:44億7,002万7,000円
・第6期:80億927万円

<純損益の推移>
・第4期:▲2億9,139万3,000円
・第5期:9,576万6,000円
・第6期:▲5億4,508万4,000円
※▲はマイナス
※第4期の決算期間は2022年4〜12月の9カ月間

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■決算概要(2024年1月1日〜2024年12月31日)

賃借対照表の要旨(単位:千円)

▼資産の部
流動資産 4,783,489
固定資産 5,992,285
資産合計 10,775,774
▼負債・純資産の部
流動負債 1,752,610
(うち製品保証引当金)(9,603)
固定負債 3,034,118
株主資本 5,983,896
資本金 3,417,600
資本剰余金 3,407,600
資本準備金 3,407,600
利益剰余金 △841,303
その他利益剰余金 △841,303
新株予約権 5,150
負債・純資産合計 10,775,774

損益計算書の要旨(単位:千円)

売上高 8,009,270
売上原価 6,498,992
売上総利益 1,510,277
販売費及び一般管理費 1,748,799
営業損失 238,521
営業外収益 153,469
営業外費用 420,228
経常損失 505,281
税引前当期純損失 505,281
法人税、住民税及び事業税 8,571
法人税等調整額 31,231
当期純損失 545,084

■万博で自動運転大型バスが採用される

2019年設立のEVモーターズ・ジャパンは、商用EV(バス・物流車)や急速充電器等を開発・製造・販売を行っている企業だ。現在は福岡県北九州市に本社とショールームを置くほか、東京都や福岡県、愛媛県、愛知県、大阪府にも拠点を持つ。

同社製の自動運転バスは、2025年4月から開催中の大阪・関西万博で運行するルートで採用されるという快挙を成し遂げた。運行を手掛けるのは大阪メトロで、運転者を必要としない自動運転レベル4の認可を取得した上で、来場者を乗せ会場内外を運行している。自動運転の大型バスが一般道を走行するのは全国初となる。

自動運転の大型路線EVバス「F8 series2-City Bus 10.5m」は乗車定員77人で、万博会場〜舞洲の駐車場間を走行している。なお、自動運行装置は先進モビリティ社製の「ASM-AD」が採用されているようだ。

出典:大阪メトロプレスリリース

■商用EV専用の最終組立工場を建設中

EVモーターズ・ジャパンは、日本初の商用EV専用量産組立工場「ゼロエミッション e-PARK」を北九州市に建設中だ。

「EVを広げる・EVを感じる・施設を楽しむ」をテーマにし、商用EV車両の生産だけにとどまらず、EV体験(試乗・試運転)、工場見学、EV資料館などを一貫して楽しめる、体感型EV複合施設となっている。この施設は、風力発電やソーラー発電を活用した再生可能エネルギーによる自立発電にて稼働予定だ。

2024年12月に第一期工事が完了、現在は第二期工事へ着工しており、2025年度の生産開始を目指しているという。

出典:EVモーターズ・ジャパン公式サイト

■順調な資金調達、大手企業が多数参加

資金調達も積極的に行っているEVモーターズ・ジャパン。2024年は、第三者割当増資により3月に16.4億円、8月に1億9,500万円、9月に1億500万円、11月に9,750万円、12月に5,250万円の資金調達を実施した。

2025年に入っても、第三者割当増資において2月と3月に資金調達を実施したことを発表。全ラウンドでの合計の資金調達額は総額約82.1億円となっている。参加企業には住友商事や関西電力グループ、阪急バス、NTTドコモ・ベンチャーズなど大手企業が名を連ねており、EVモーターズ・ジャパンへの大きな期待を感じさせる。

また2024年10月には、「革新的技術研究成果活用事業円滑化債務保証制度」を活用し、総額50億円の融資契約を締結している。

EVモーターズ・ジャパンは第6期で赤字に転落したものの、現在は設備や技術開発に投資している段階とも言える。ゼロエミッション e-PARKの全工事が完了し、量産体制が本格的に整った際の同社のさらなる快進撃に期待だ。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)



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