米大統領選でドナルド・トランプ氏の勝利に多大な貢献をしたEV(電気自動車)大手テスラのCEO(最高経営責任者)であるイーロン・マスク氏。トランプ大統領はその見返りとして、マスク氏の発案で「政府効率化省(DOGE)」を新設した。
そしてDOGEが、米運輸省道路交通安全局(NHTSA)の職員を約30人解雇していたことがこのほど判明した。NHTSAはテスラの自動運転車などを調査する監視機関だ。この件について、マスク氏がDOGEを利用して自社に直接利益をもたらす「利益相反」との批判や「やりすぎ」との声が出ている。
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■マスク氏の影響で解雇された?
NHTSAは、米国の自動車の安全を確保するほか、燃費基準を設定したり、輸送システムに関する規制を施行したりする役割を担う連邦機関だ。
今回明らかになったNHTSAの人材解雇は、DOGEによる大規模な削減の一環として行われたものになる。2025年2月に解雇されたNTHSAの職員約30人の多くが「車両自動運転安全部門」に所属していたと報じられている。
NHTSAの元職員で、今回の解雇対象には含まれなかった人物は米メディアの取材で「これは明らかな利益相反だ」と話しているようだ。また「ビジネス上の利害関係を持つ人物が、自らを規制する機関の人事や政策に影響を与えることを許している」と批判している。
■NHTSAはテスラ車をたびたび調査
マスク氏は「特別政府職員」という立場でDOGEを率いているが、これまでにもDOGEによる他の機関の削減が、同氏に個人的な利益をもたらした可能性があるとの疑惑がたびたび生じていた。
連邦航空局(FAA)や連邦通信委員会(FCC)での削減が、マスク氏の航空宇宙を手掛ける企業「SpaceX」に有利に働いた可能性が指摘されていた。SpaceXは規制や手続きの問題で事業が進まないという問題を抱えていたためだ。
そして今回NHTSAの大量解雇が明らかになったことで、その疑惑はますます強くなった。NHTSAは2025年1月に、テスラの車両のリモート操作機能および自動運転機能に関連する事故報告を受け、数百万台のテスラ車を対象に調査を開始した。
これは、2024年10月に開始された同社のADAS(先進運転支援システム)「FSD(Full Self-Driving)」の調査や、2022年に報告された「オートパイロット」機能による十数件の事故に関する調査などに続くものである。
さらにNHTSAの規制当局は2025年3月、テスラの電動ピックアップトラック「Cybertruck(サイバートラック)」に対して全面リコールを行っている。フロントガラスの左右に沿った外装パネルが走行中に脱落し、道路の危険な障害となる可能性があるためだ。リコールの対象となったのは2024年・2025年モデルを含む合計4万6,096台のサイバートラックで、過去2年間に製造された全ての車両が含まれることになる。
■マスクはDOGEを5月に退任する?
このように、テスラにとっては「目の上のたんこぶ」のような存在であったNHTSA。自動運転の安全部門に所属する職員を削減することで、同社にとっては有利に働くのか。
ただしNHTSAは、自動車やドライバーの安全に関する監視やリコールを行っており、安全性を確保するためには欠かせない機関だ。元労働長官のロバート・ライシュ氏はX(旧Twitter)で「NHTSAは、DOGEによる解雇の影響を受けた最新の連邦機関となった。NHTSAはテスラの自動運転車に関する事故を調査してきた機関だ。これは決して『効率化』のためではなかった」と批判している。
また、ある上院議員は「マスクは、自らが製造・販売する自動運転車を規制する機関の職員の50%を解雇している。残った職員は、規制すべき相手(マスク氏)の意向に従うことになる。本当に冗談ではない」と憤っている。
しかしトランプ大統領は、マスク氏率いるDOGEの仕事ぶりを称賛しており、引き続き連邦支出削減目標を追求することを期待しているようだ。ただしマスク氏は130日間の任期が終了すれば、早ければ5月下旬にDOGEでの役割を退く見通しだ。今後も注目したい。
【参考】関連記事としては「イーロン・マスク氏に「贈収賄」疑惑 トランプ氏、自動運転規制で便宜図る?」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)