中国人、ハンドルにペットボトルを挟み、「脱法的」手放し運転

「手を添えている」と偽装し、寝てしまう

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中国で、運転支援システムが作動中に座席に横たわり、映画を観たり眠ったりしている状況の動画が公開され、波紋を呼んでいる。しかも乗っているクルマは自動運転車ではなく、ADAS(先進運転支援システム)で運転支援を行っているに過ぎない。つまり、ハンドルから決して手を離してはいけない。

しかしドライバーの中国人は手の代わりにペットボトルをハンドルに挟み、手を添えているよう偽装している。一歩間違えば重大事故を起こす可能性のある悪質な違反だと言える。

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■中国人がアップした動画とは?

中国のSNS「微博(Weibo)」にアップされたのは、中国人男性らしき人物がADAS作動中に睡眠を取ったり映画を観たりしている動画だ。ドライバーと同乗者は前の席で毛布を掛けて横たわり、目を閉じることもあった様子だ。走行スピードは時速110キロにも及んでいたようだ。

出典:Weibo

ハンドルには手を添えておらず、なんと手の代わりにハンドルの間にペットボトルを入れている。ハンドルに手を添えているように見せかけ、システムをだますためだろう。

現地メディアによると、使用されている車両は中国の自動車メーカー・吉利汽車(Geely)系列のZeekrのEV(電気自動車)だという。Zeekrの自動運転システム「Navigation Zeekr Pilot(NZP)」は完全な自動運転ではなく、ドライバーの運転を支援するADASとなっており、車線変更や高速道路の出口などの走行をサポートする。

自動運転ではないため、ドライバーは常に運転に注意を払う必要がある。ハンドルから長い間手を離した場合、システムがドライバーに制御を促す警告を発する仕組みになっている。

【自動運転ラボの視点】
なお「ほぼ自動運転」と話題になることもあるトヨタのレクサスでは、一部ハンズオフ運転が可能になる「Advanced Drive」といった最新システムであっても、追い越しを伴う車線変更時などはハンドルに手を添えておくことが必要になるため、その手間を面倒だと感じて同様の「手口」を行おうというドライバーが出てくる懸念がある。決してこの中国人の脱法的な方法を悪用するのは厳禁だ。参考:トヨタ・レクサス、完成度が高すぎて「ほぼ自動運転じゃん!」と話題に|自動運転ラボ

■ADASシステムの悪用は重大な罪となる

今回の動画のドライバーの身元はまだ定かになっていないようだ。交通当局は、このような無謀な行為は重大な事故を招く可能性があると厳重に警告している。

なお中国では、ADASシステムの悪用で摘発された運転手は免許停止となる。さらに最高2,000元(約4万円)の罰金や最長15日間の拘留のほか、さらに深刻なケースでは刑事告発などの処罰を受けることになるという。

今回の動画の再生数は増え続けており、中国内で大きな話題となっているようだ。多くの人が、ドライバーの無責任な行動に憤慨しているという。このドライバーの運転免許を剥奪すべきだとの声も出ている。

■ADASの過信に注意

ドライバーがADASを自動運転と過信したことによる事故は、たびたび起きている。

2018年には、米EV大手テスラのADAS「Autopilot(オートパイロット)」を高速道路で作動中に壁に激突してドライバーが死亡する事故が起きた。ドライバーがスマートフォンでゲームをしていたことが事故の原因になったという調査結果が報告されている。

そのほかにも、テスラ車に乗車中にAutopilotを作動させた際の死亡事故が起きている。いずれも、ドライバーはハンドルに手を添えていなければならなかったが、それを守っていないことが事故を引き起こした。テスラのシステムはハンドルを握るよう警告していたが、ハンドルを握ったデータは確認されなかったようだ。

今回の中国の場合は、ハンドルにペットボトルを挟み、手を添えているとだましているため、警告は発せられていない可能性が高い。ドライバーはハンドルに手を添えないといけないことを理解した上でシステムを欺いているため、かなり悪質な仕業だと言える。

このような細工をされると、システムは対処できなくなってしまう。完全自動運転以外では、機能についてのドライバーの正しい理解やルール遵守といった、秩序を保った行動が大切になる。

自動運転車の事故一覧(2024年最新版) 日本・海外の事例を総まとめ

■ADASは自動運転ではないことの理解を

現在、高度なADASが搭載されている車種が多く発売されている。ただしADASと自動運転の機能の差は大きく、自分のクルマがどこまで運転をサポート可能かについて正しく理解しておく必要がある。運転支援という最新技術は大いに活用していただきたいが、事故につながったら本末転倒だ。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)



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