神奈川県川崎市と小田急電鉄は2021年2月21日までに、川崎市内の新百合ヶ丘駅周辺において実施するオンデマンド交通「しんゆりシャトル」の実証運行について発表した。乗降地点は約500地点に上り、バス停よりも高い密度で配置されていることが特徴だ。
実証運行は2021年2月17日から5月16日まで。国土交通省の日本版MaaS推進・支援事業に選定された「しんゆりMaaS実証実験」の一環として実施され、小田急バスや川崎交通産業、神奈中タクシーとも連携する。
■2度目の実証運行は「有償」で実施
「しんゆりシャトル」は公共バスと違い、アプリを通じた配車依頼に応じ、随時経路を変えながら運行する。乗客は指定した出発地と到着地近くのミーティングポイントで乗り降りできる。同じ方向へ同じ時間帯に行く人がいれば相乗りになることもある。
運行は午前7時から午後10時で、乗車運賃は大人500円、子ども250円(1カ月定期券は大人21,000円、子ども10,500円)。アプリ上でクレジットカード決済ができ、配車依頼から決済までアプリ1つで対応可能だ。
今回の実証運行では、小田急電鉄の「EMot(エモット)」が配車用アプリとして、スペインShotl社の「Shotl(シャトル)」が配車システムとして採用されている。使用車両はトヨタのアルファードで、最大で4台が同時に運行する。
ちなみに小田急電鉄は、2020年2〜4月に「しんゆりシャトル」の無償での実証運行を実施しており、配車の効率性や需要は検証済みだ。当時は実証期間中に約5,700人が利用し、利用者アンケートでは80%以上が「満足」「やや満足」と回答している。
■オンデマンドバスが「市民の足」に
運行エリア内に多くの乗降ポイントがあると、オンデマンドバスの利便性は飛躍的に上がり、オンデマンドバスの収益化も実現しやすい。
収益性の観点から地方都市で多くの公共バスの存続が危ぶまれる中、オンデマンドバスが市民の足として活躍することに期待がかかる。
【参考】関連記事としては「小田急のMaaSアプリ「EMot」、機能拡充!電子チケットの譲渡機能も」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)