いよいよこの夏に第1期の建物が完成予定のトヨタの実証都市「Woven City(ウーブン・シティ)」。トヨタやトヨタ関係者から段階的に入居し、まずは約360人が居住する計画になっている。
Woven Cityが建つ場所は、富士山の麓の静岡県裾野市だ。富士山をバックに近未来的なビルが建ち並ぶ街の様子は、「映え」るスポットとして多くの人が訪れるようになるのかもしれない。
【参考】関連記事としては「Woven City、ついに入居開始へ!トヨタ関係者から段階的に」も参照。
■富士山×Woven Cityでインスタ映え!?
富士山といえば、コンビニ超しに見える富士山が映えスポットとして多くの観光客などが訪れたというニュースが記憶に新しい。その場所では道路への飛び出しやゴミのポイ捨てなどの迷惑行為が散見され、その後富士山を見えなくするために黒幕が張られるという結果になった。
Woven Cityの完成後も、富士山を背景に住居などの建物が建っている様子を写真に収めようと人が集まる可能性がある。雄大な自然と最新の構造物との対比は、大きな話題になりそうだ。
ちなみに以下が最新のWoven Cityのイメージだ。
では、なぜWoven Cityが富士山の近くに建設されることになったのかあらためて見ていこう。
■東富士工場跡地に建設
Woven Cityは、豊田章男前社長が2020年1月に開催された世界最大の技術見本市「CES 2020」の場で開設を発表した。2020年12月に閉鎖したトヨタ自動車東日本の東富士工場跡地に建てられることになった。
Woven Cityが着工したのは2021年2月23日。「富士山」の日だ。この日行われた地鎮祭で豊田前社長は東富士工場について、「ここで働いてきた人は7,000人。この場所に、毎日、1,400万歩の足跡を残したことになります。これまでに生産した車は752万台。センチュリーからJPNタクシーまで、多種多様なクルマを世の中に送り出してまいりました。まさに日本のモータリゼーションをけん引し、人々の暮らしを支え、クルマ文化をつくってきた工場だったと思います」と説明した。
東富士工場は最盛期には2,000人が在籍し、トヨタの最高級車のセンチュリーや、乗用車の何倍もの耐久性を必要とするJPNタクシーなどを送り出してきたという。半世紀以上にわたりトヨタを支え、地域や自動車産業に貢献してきた東富士工場の歴史をWoven Cityの未来へ引き継ぐことになる。
これについて豊田前社長は、下記のように語っている。
東富士工場のDNA。それは、たゆまぬカイゼンの精神であり、自分以外の誰かのために働く「YOU」の視点であり、多様性を受け入れる『ダイバーシティ&インクルージョン』の精神です。これらが『ヒト中心の街』『実証実験の街』『未完成の街』というWoven Cityのブレない軸として受け継がれてまいります。『東富士工場の歴史をこの町の未来につなげたい』『地域の皆様から愛され、頼りにされる、この町いちばんの会社になりたい』それが、私たち全員の想いであり、これから先も、決して変わることはございません。
クルマを製造する東富士工場時代から、最新技術を開発するWoven Cityに変わったとしても、トヨタの核となる考え方は変わらず受け継がれていくようだ。
■Woven Cityでは具体的に何をする?
Woven Cityでは、トヨタが掲げる「幸せの量産」を目指したさまざまな実証実験が行われる。自動運転に関しては、「自動運転技術を鍛える」「自動運転を使ったサービスの価値検証」を目的に、自動運転機能をさまざまな発明者が使い、試すことでユースケース拡大していくという。
具体的には、トヨタの自動運転システムを搭載した「e-Palette(イーパレット)」を使い、バス事業者による自動運転バスサービスや、小売業者による自動移動販売サービスなどを行っていくようだ。
そのほか、スマートロジスティクスや次世代遠隔コミュニケーションプロダクトといった分野での実証も行う。Woven Cityでの実証実験を検討中のパートナーとしては、ENEOSや日清食品、リンナイが発表されている。
■最終的には2,000人が居住する街に
第1期工事が終わり、2025年から一部実証がスタートするWoven City。段階的に入居者を迎え、360人が住む予定だ。トヨタによると、フェーズ1以降の建築スケジュールは現時点では決まっていないようだが、約70万8,000平方メートルのエリアに約2,000人が住むという計画になっている。
公式サイトでは、白い建物が建ち並び、その間を自動運転車やロボットなどが走行するイメージ図を見ることができる。Woven Cityの完成をワクワクしながら待っている人は多いだろう。
【参考】関連記事としては「トヨタWoven Cityを知るための「4つの数字」」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)