米カリフォルニア州ロサンゼルスのダウンタウンでGoogle系の自動運転タクシーを盗もうとした男が、窃盗未遂容疑で逮捕された。ロサンゼルス市警がこのほど明らかにした。
■シフトレバーを「ドライブ(D)」に入れたが・・・
事件が起きたのは3月2日午後10時半ごろ。現場は、市庁舎に近い1番街の北側のメインストリートだ。
ヴィンセント・モーリス・ジョーンズ容疑者はGoogle系Waymoの自動運転タクシーが客を降ろした直後、運転席に乗り込んだ。しかし、ジョーンズ容疑者はシフトレバーを「ドライブ(D)」に入れても車両を操作することができなかった。自動運転車ならではだ。
Waymoの担当者はオンライン通信システムを通じてジョーンズ容疑者に話しかけ、車からすぐ離れるように伝えたが、ジョーンズ容疑者はその指示に従わなかったため、Waymoの担当者は警察に通報。ほどなく警察官が到着し、ジョーンズ容疑者はその場で現行犯逮捕された。
カリフォルニア州では車両盗難未遂は、重罪として起訴されて有罪判決を受けた場合は3年以下の懲役、軽犯罪として起訴されて有罪となった場合は1年以下の懲役に処される可能性がある。
■相次ぐ無人車両やロボットへの襲撃事件
自動運転車や自動配送ロボットに対して悪さをしようという事件が相次いでいる。
【参考】関連記事としては「Google自動運転車への襲撃、セブンイレブンも過去に類似の被害」も参照。
Waymoの自動運転タクシーは2024年2月、春節を祝っていたサンフランシスコの中華街で群衆の襲撃を受け、車両が破壊されて最終的に炎上するに至った。自動運転車の反対派がGM Cruiseの自動運転タクシーのボンネットに三角コーンを置き、走行不能にするキャンペーンも行われている。
また、過去にはセブンイレブンの商品を運んでいた自動配送ロボットが襲撃され、商品が盗まれる事件も起きている。日本でも自動配送ロボットの導入が徐々に始まる中、同様の事件が起きないか懸念が高まる。
【参考】関連記事としては「Uber Eatsの配送ロボ、「安全大国ニッポン」でも襲撃の標的に?」も参照。
■防御策を講じ、法律・条例の制定も必要に?
自動運転車や自動配送ロボットは「無人」がウリなだけに、何らかの防御策を講じなければ、こうした犯罪を防ぎにくい。異常な状態となったら大音量のアラートを鳴らしたり、自動で監視センターに通知がいくシステムを導入したり、といった工夫が求められる。
国や自治体が特別法や条例を制定し、明確に無人車両や無人ロボットを襲撃した際の刑罰を定義する必要性も出てくるかもしれない。
【参考】関連記事としては「自動運転関連の法律・ガイドライン一覧(2024年最新版) 施行・改正情報まとめ」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)