「自動運転レベル」は、運転の主体や走行可能エリアなどによって6段階にレベル分けされている。「一体誰が決めたのか」と気になる人はいないだろうか。
答えは、研究者や技術者などモビリティの専門家を会員とするアメリカの「自動車技術会」(SAE)という非営利団体だ。自動車だけでなく船や航空機など多くのモビリティの標準化機構である。
■基本はSAE基準
このSAE基準が世界で主流とされていて、日本でもSAEの規格を基に、2018年から日本の公益社団法人「自動車技術会」(JSAE)が「自動車用運転自動化システムのレベル分類及び定義」と題した技術文書を発行した。
現在は、原文であるSAE J3016_202104の日本語参考訳として2022年3月18日に改訂されたものが、ウェブサイトにて無償公開されている。
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https://questant.jp/q/8ZJW8X8K
各レベルの名称は、自動運転レベル0は「運転自動化なし」、レベル1は「運転支援」、レベル2は「部分運転自動化」、レベル3は「条件付運転自動化」、レベル4は「高度運転自動化」、レベル5は「完全運転自動化」と翻訳されている。
■国土交通省も独自に名称を定める
ちなみに国土交通省は、利用者が自動運転車の機能を過信せず適切に運転できるよう、SAEによる各レベルの呼称とは別に日本独自の呼称を策定した。
【参考】関連記事としては「レベル3は「条件付自動運転車」!国が呼称決定、誤解防止で」も参照。
韓国は2023年1月に国内基準を定めたことを発表しているが、国内産業界により明確な基準を示すことが目的と考えられ、内容は基本的にSAEに準拠している。
なお、日本も車の安全基準の整備に貢献している。2022年6月には「自動車基準調和世界フォーラム」で、日本主導で策定した自動運転や安全運転支援の技術に関連する国際基準が国連で合意された。
■「レベル4」の普及が急がれる
SAE自動運転レベルは6段階それぞれ詳細に定義されているが、ざっくり言うと0~2は運転操作の主体が人間で、レベル3~5は運転操作の主体が自動運行装置だ。
日本では2023年4月に道路交通法が改正され「レベル4」の自動運転が解禁された。主に過疎地域で特定のルートを無人で走るバスなどが想定されているが、2025年度をめどに高速道路での自家用車・トラックなどにも拡大される予定だ。
人件費削減や人手不足といった大きな社会課題の解決につながるため、「レベル4」の普及が急がれる。
【参考】関連記事としては「自動運転レベルとは?(2023年最新版)」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)