「自動運転の目」と言われるLiDARの市場規模は、今後大きく拡大することが予想されている。しかし、LiDAR開発企業各社の株価は奈落の底まで転げ落ちた状態となっている。中には最高値から90%以上安くなっている銘柄もある。
ここまで下がった銘柄に手を出す投資家は、ほとんどいないかもしれない。しかし一方で、将来的な市場規模の伸びを考えると、「今が買い時」と鼻息を荒くしている投資家も一部でいるようだ。
記事の目次
■そもそもLiDARとは?
そもそもLiDARは「Light Detection and Ranging(光による検知と測距)」の略で、「ライダー」と読む。「レーザーレーダー」や「赤外線レーザースキャナー」と呼ばれることもある。
LiDARは、光を使ったリモートセンシング技術を用いて物体検知や対象物までの距離を計測するという仕組みになっており、レーザー光を照射し、それが物体に当たって跳ね返ってくるまでの時間を計測し、物体までの距離や方向を測定する。
辺り一面にくまなく照射したレーザー光の測定結果は1つひとつが「点」で表され、これを集めることで「点描」の要領で、リアルタイムに周囲の状況や対象物までの距離や位置、形状などを把握することが可能になる。高精度で測定できることから、現在開発されている多くの自動運転車に、LiDARが搭載されている。
ただし、米EV(電気自動車)大手テスラのCEO(最高経営責任者)であるイーロン・マスク氏が過去に、「LiDARを利用しなくても自動運転は可能だ」と発言するなど、LiDAR不要論も一部である。
【参考】関連記事としては「LiDAR(ライダー)とは?自動運転向けセンサー(2023年最新版)」も参照。
■LiDAR開発各社の株価について
Luminar Technologies
若き創業者Austin Russell(オースティン・ラッセル)氏が高校在学中の2012年に設立した米Luminar Technologies(ティッカーシンボル:LAZR)は、2020年12月にナスダック市場に上場した。過去最高値は1株47ドル台で、現在は3〜4ドルをうろうろしている。つまり、約90%下落したことになる。
Innoviz Technologies
イスラエル企業のInnoviz Technologies(同:INVZ)は、2021年4月にナスダック市場に上場した。今のところ過去最高値は17ドル台で、2023年10月以降は1.7ドルを下回る株価となっている。つまり、90%前後の下落となる。
Aeva Technologies
米Aeva Technologies(同:AEVA)は、2021年3月にニューヨーク市場への上場を果たしている。上場初日の終値は16.16ドルで、その後株価は低迷し、2023年に入り2ドルを切るようになった。現在は0.5ドル前後で推移している。
■悲惨な状況を脱することができるのか
株価が悲惨な状態にあるLiDAR株だが、今後、株価が回復するのだろうか。冒頭触れたように、「今が買い時」説もある。主に米国と中国で自動運転車の実用化が進み、車両の量産の動きがある。それに伴ってLiDAR需要も拡大し、株価上昇の好材料となるという見方だ。
また、米国での利上げ停止観測により相場全体で株高の兆しが出てきていることも、強気の見方をする投資家を増やしている。2023年10月に米連邦準備理事会(FRB)高官が、利上げ停止を協議し始めたことを示唆する発言をしている。
投資はあくまで自己責任だが、自動運転技術で大きく資産を膨らますことを狙うのであれば、LiDAR銘柄は投資を検討すべき対象に含めていいのかもしれない。
※編注:この記事は特定の株式銘柄への投資を推奨するものではありません。
【参考】関連記事としては「自動運転向けLiDAR開発企業、株価的には苦しい1年だったが……」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)