中国のIT大手である百度(バイドゥ)は、中国最大の検索サービスや地図サービスを展開していることから、「中国のGoogle」とも呼ばれている。
そんな百度と中国自動車大手のGeely(浙江吉利控股集団)は2023年8月21日までに、新しい自動運転モビリティブランド「JI YUE」の立ち上げを発表した。バイドゥはスマートキャビンや自動運転、AI(人工知能)技術などを提供し、Geelyの車両に統合するという。
■百度とGeelyの協業関係が進化
Baiduは2021年1月に、Geelyの協力のもとインテリジェントEV(電気自動車)を設計・生産する新会社を設立し、スマートカー開発・製造で自動車業界に参入すること発表した経緯がある。
その際、新たに設立されたJidu Auto(集度汽車)は、量産向けのコンセプトロボカー「ROBO-01」を2022年6月に発表している。NVIDIAのSoCやLiDAR2台、ミリ波レーダー5台、超音波レーダー12台、カメラ12台の外部センサー、百度によるApollo自動運転機能を搭載した車両となる。
また同年12月には「Robo-01 Lunar Edition」を2023年に限定版として販売開始することを発表した。
今回のJI YUEの発表は、両社の戦略的パートナーシップをさらに進化させたものになるようだ。
■新しい自動運転車ブランド「JI YUE」
JI YUEでは、これまでにないインテリジェントな自動車体験を提供することを目指している。フラッグシップモデル「JI YUE 01」の販売やサービス、マーケティングを統括するだけでなく、中国国内で独自の充電ネットワークの構築と開発も行うという。
JI YUE 01については、2023年第4四半期に市場デビューする予定の自動運転車(ロボカー)であること以外、ほぼ詳細は明かされていないが、インテリジェント・モビリティのコンセプトを再定義し、技術志向のユーザーの要望に応えることを目的に開発されているようだ。
■アポロ計画を進めてきた百度
百度は2017年4月に「Project Apollo(アポロ計画)」と呼ばれるオープンソフトウェアプラットフォームを活用した新しい計画を発表した。自動運転技術開発において、幅広い分野のパートナーと共同で技術開発を進めるオープン戦略を採用し、業界全体の開発を加速させる方針になっている。
2022年8月に重慶と武漢で完全無人の自動運転タクシーサービス許可を取得、同年12月には北京で、2023年6月には深センで同様の許可を取得している。
早くから自動運転開発を進めてきた百度。今後の展開にも期待したい。
【参考】関連記事としては「百度(Baidu)の自動運転戦略(2023年最新版)」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)