2022年7月設立のベンチャー企業であるKGモーターズ株式会社(本社:広島県東広島市、代表取締役CEO:楠一成)はこのほど、開発中の1人乗り超小型EV(電気自動車)を将来的に完全自動運転化し、ミニマムモビリティロボタクシーとして展開する計画を明らかにした。
同社は成長戦略として「ミニマムなMaaS」のビジョンを公開しており、その中で成長事業として「ミニマムモビリティの自動運転」を挙げている。
■1人乗りのEV「ミニマムモビリティ」とは?
KGモーターズは、超小型モビリティの製造・販売やMaaS事業を手掛けるスタートアップだ。同社は成長戦略で「ミニマムモビリティの製造販売」を初期事業としている。
同社が開発するミニマムモビリティとは、1人乗りの小型EVのことを指す。1980年代のポラロイドカメラをモチーフにしたレトロさがありながら、近未来を感じさせる前後対称のデザインで、センターポジションで走る楽しさを追求した車両になっている。サイズは全長2,450×全幅1,090×全高1,500ミリで、航続距離は100キロ。
2023年1月に開催された「東京オートサロン」でコンセプトモデルを発表しており、その際に事前モニター登録で5,800件の申し込みを受けたという。販売価格は100万円以内を目標にしており、2025年の量産販売に向けて準備中のようだ。
■まずはワンウェイ型シェアリングサービスから
KGモーターズは、人口減少時代では「1人乗りであること」が交通課題の解決につながると予測しているという。
同社によると、大型車による自動運転はコストが高く、何らかの迂回経路や時間制約があり、利便性が低いという欠点がある。それに対し小型車による自動運転は、車両の維持費や償却コストが大型車と比較すると安く、エネルギー効率も高く電気代も安い。また個人が行きたい場所へ直接行けるというパーソナルな移動を実現することができる。
KGモーターズは、成長事業「ミニマムモビリティの自動運転」において、1人乗りの完全自動運転タクシー(ロボタクシー)の実用化を目指しており、まずは2027年から自動運転レベル4の「ワンウェイ型シェアリングサービス」を先行展開する予定だ。これは、どこでも乗り捨て可能なカーシェアで、目的地までは人が運転するが、迎車と返却を自動運転で行う。
さらに2030年からは、レベル5の完全自動運転のロボタクシーを走行させるという計画だ。自動運転ミニマムモビリティを購入したオーナーが貸し出せるプラットフォームをつくり、手数料収入を得るビジネスモデルを想定しているという。
■実現したら世界初?
車イス型をのぞき、1人乗りの自動運転モビリティは世界的にも開発例を耳にしない。KGモーターズの取り組みは、他社と差別化していることも強みだ。今後の展開に関心が集まりそうだ。
【参考】関連記事としては「ZMP、1人乗り自動運転ロボのサブスクスタートへ!月額1万円で」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)