水面下で自動運転開発を進める米アップルは、カリフォルニア州で2023年5月に自動運転車のテスト走行のために雇ったドライバーを大量解雇した。しかし、その2カ月後の今月7月に、再び人員を拡大した。
同州の車両管理局(DMV)に提出した資料から明らかになった。米メディアが報じている。
■増減を繰り返す自動運転テストのドライバー数
カリフォルニア州において自動運転車で公道走行するには、同州のDMVから走行ライセンスを取得する必要がある。
ライセンスには「Testing with a Driver(※セーフティドライバー同乗での走行テスト)」、「Driverless Testing(※完全無人での走行テスト)」、「Deployment(※サービス展開に向けたライセンス)」の3種類があり、アップルが取得しているのは1つ目の「Testing with a Driver」だ。
アップルの自動運転車パイロットプログラムのドライバー数は、2023年3月時点では過去最大の201人であったが、その後、大幅に人員を削減して5月に145人になった。同社がテストチームの規模を縮小したのは2年ぶりであった。しかし今月7月に7人を再び増員し、152人になった。
5月の大幅解雇の際は、セーフティドライバーを減らしても問題ないほどアップルの自動運転技術の開発が進んでいるのか、もしくは開発自体を縮小する動きがあるのか、憶測を呼んでいた。
なお試験走行に用いる車両数は66台と、3月から変わっていない。
■「セーフティドライバー同乗」許可における各社データ
2023年7月時点で、カリフォルニア州でセーフティドライバー同乗での走行テストにおいて登録されている各社のドライバー数と車両数は、以下のようになっている。
- Apple:152人/66台
- Mercedes Benz:210人/77台
- Waymo:846人/358台
- Tesla:59人/14台
- Cruise:332人/940台
- Zoox:576人/208台
- NVIDIA:294人/13台
- Nuro:118人/123台
- Motional:36人/48台
- Woven Planet:77人/38台
- Pony.ai:7人/17台
なおドライバーレスでの走行許可を取得しているのは、APOLLO AUTONOMOUS DRIVING USA、AutoX、Cruise、Nuro、Waymo、WeRide、Zooxの7社だ。サービス展開が許可されているのは、Cruise、Nuro、Waymo、Mercedes Benzの4社となっている。
■プロジェクトの進捗は不明だが……
5月の人員削減から一転、人員を増加させたアップル。水面下でどのようにプロジェクトが進んでいるのかはなかなか見えてこないが、今後の動向にも注目が集まることだけは確かだ。
【参考】関連記事としては「Apple、自動運転開発でレイオフ!テスト運転手を約25%削減」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)