インドの自動運転スタートアップであるMinus Zero(マイナスゼロ)は、自動運転コンセプトカー「zPod」をこのほど発表した。現地メディアの報道によると、「インド初」のことだという。
zPodは、「自動運転の目」とも呼ばれるLiDAR(ライダー)を使用しない自動運転車で、AI(人工知能)技術により「自動運転レベル5」を実現可能だとしている。
ただしMinus Zeroによると、zPodを生産する予定はなく、あくまでコンセプトカーとしての発表にとどまるという。
■インドのスタートアップMinus Zero
2020年設立のMinus Zeroはインドのバンガロールを拠点に、交通渋滞や交通事故の減少のため独自の自動運転技術を開発している。
人間の脳からインスピレーションを得て、世界で最も人間に近い自動運転を実現するため、最先端のAI技術を用いた研究開発を行っているという。なお、バンガロールは「インドのシリコンバレー」とも呼ばれており、ハイテク産業の中心地として知られている。
同社はインドで初めて公道で自動運転車の走行テストを実施したことで知られる。2022年にはシードラウンドを終了し、インドの大手テック系VCなどから資金調達を行っている。
■人間の脳をモデルとしたAIを搭載
今回発表したzPodは、向かい合わせに座席が配置された4人乗りのEV(電気自動車)で、ハンドルやブレーキなどは設置されていない。5つのカメラが搭載されているが、冒頭触れた通り、LiDARは不使用となっている。
運転は全てAIが行い、カメラが捉えた映像から得た情報をリアルタイムで処理し、情報に基づいた判断を下すという。
Minus ZeroのAIは「Nature Inspired AI(NIA)」と呼ばれる。一般的にAIは訓練されていない条件下での判断に弱いが、人間のように初めて走行する道路でも正しい判断が下せるよう、人間の脳をモデルとしたアプローチをしているという。
Minus ZeroはzPodについて、量産はしないとしているものの、現実世界における走行において人間の介入を必要としない自動運転レベル5までスケールアップできるとしている。
■インド初の自動運転車、量産化への期待も
zPodはどのような目的で開発されたのか。Minus Zeroによると、自動車メーカーがドライバーレス車両のデザインの新しい可能性を探るためのインスピレーションがわくようにと、開発されたという。もちろん、同社の自動運転技術をアピールする目的もある。
ただし「インド初」の自動運転車の発表ということもあり、量産を期待する声が高まれば、もしかするとMinus Zeroは今後、zPodの本格的な生産に乗り出す可能性もある。
インドの混沌とした道路環境では自動運転車の走行難易度は高いが、インドの実用化第1号もMinus Zeroが果たすかもしれない。
▼Minus Zero公式サイト
https://minuszero.in/
【参考】関連記事としては「自動運転とインド(2023年最新版)」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)