空飛ぶクルマなどの開発を手がける株式会社SkyDrive(本社:愛知県豊田市/代表取締役CEO:福澤知浩)が、千葉県の害獣駆除に取り組むことを2023年1月10日までに発表した。
千葉県では高齢化により狩猟者が減少している一方で、鳥獣の捕獲頭数は増加しているという。農作物の被害だけでなく人への危害が及ぶ可能性も出ているようだ。
SkyDriveは「先進的デジタル技術活用実証プロジェクト」として、ドローン運行会社のダイヤサービスやAI(人工知能)を活用したドローン開発を行うロックガレッジ、有害鳥獣の捕獲などを行う房総山業、狩猟関連の教育や訓練を行う木更津猟友会とともに、それぞれの強みを生かして害獣駆除を推進していく。
■自律飛行ドローンやAIでイノシシ検知
今回のプロジェクトでは、ドローンやAI(人工知能)など先端技術を活用し、効率の良い狩猟モデルを策定して害獣駆除を進めていく。自律飛行のドローンを活用し、主にイノシシ退治をメインに行うプロジェクトのようだ。
SkyDriveは物流ドローンの機体提供と運行を担い、ダイヤサービスはプロジェクトオーナーとしてドローンの運行全体を管理する。ロックガレッジは害獣AI検知ソフトを提供し、房総山業は狩猟現場の案内と立ち合い、木更津猟友会は狩猟の専門家を派遣する。
2022年度は、赤外線を搭載したドローンの自律飛行やAIによるイノシシの自動検知と、検知した場所への大型ドローンによる「くくり罠」や「遠隔通報機」の搬送、設置場所のシステムへのマッピングに取り組む。
2023年度には、仕留めたイノシシを大型ドローンで麓へ搬送し、AIシステムと大型ドローンの連携による自律飛行を実現や、害獣DX千葉モデルの確立に取り組むという。
すでに物流ドローン「SkyLift」を活用した飛行試験を重ねており、2022年12月27日には千葉県木更津市矢那で実証を実施済みだ。徒歩だと約25分かかる距離を自律飛行のドローンを使い、害獣捕獲用のくくり罠や最大20キログラムの遠隔通報装置を運搬し、着陸せずに荷台を上下させるピストンを使って荷物を下ろした。
運搬前には市販の小型ドローンで害獣をAI検知し、必要な箇所をマッピングした。くくり罠が設置された場所はマッピングシステムで監視を行なったという。
■全国で横展開可能な内容
農作物が鳥獣による被害を受けると、農林業者の生産意欲は大幅に低下してしまう。今回のプロジェクトは全国で横展開可能な内容だ。引き続き自律飛行ドローンの取り組みに注目していきたい。
【参考】関連記事としては「SkyDriveは空飛ぶ車だけじゃない!物流ドローンで新事業」も参照。