米インテル傘下で自動運転の技術開発を行っているイスラエル企業Mobileye(モービルアイ)の株価が上昇している。
同社は2022年10月26日に米ナスダック市場に上場し、その後、株価は一時下落したが、11月3日の取引時間中の最安値24.850ドルをつけたあと、12月14日の取引時間中に最高値37.310ドルをつけており、株価が一時約1.5倍となった。
■Mobileyeに「第二のテスラ」の片鱗
2020年は米EV(電気自動車)大手テスラが特に注目された1年であり、株価は1年間で約8.2倍に跳ね上がった。ただしこれは2020年単年の話で、もしテスラが上場した2010年6月29日に投資していたら、一時は価値が400倍を超えるほど膨らんでいた(※現在はテスラ株は下落基調にあり、400倍以上とは言えない)。
このような大きな値上がりを、Mobileyeも今後実現できるだろうか。もちろん、現在の値上がりは短期的に終わる可能性もあるが、アメリカ市場がこの間、決して堅調に推移していなかった中での上昇基調は、テスラのような「大化け銘柄」になる可能性を感じさせる。2023年の株価動向が非常に気になるところだ。
ちなみにMobileyeの上場初日の終値ベースの時価総額は230億ドル(約3兆4,000億円)で、その時点で2022年の米国上場案件としては最大規模となっている。
【参考】関連記事としては「Mobileyeの3兆円IPO、自動運転業界初の「ちゃんとした上場」?」も参照。
■開発の手を緩める気はゼロ?
Mobileyeは、主力事業のADAS(先進運転支援システム)向けのSoC(システムオンチップ)「EyeQ」の展開で、2022年第3四半期の売上高は前年同期比38%増の4億5,000万ドル(約610億円)と好調で、すでに25を超えるOEM(完成車メーカー)と契約を結び、業界から厚い信頼を得ている。
ADAS開発企業として確固たる地位を築き、また自動運転開発にも積極的だ。将来的な収益増を見越し、研究開発に大きな投資を行なっている。このような積極的な姿勢や高い信頼性から投資家の買いが進み、株価上昇を後押ししている可能性が高い。
ちなみにMobileyeとファブレス半導体企業の米MIPSは2022年12月21日までに、自動運転技術やADASの開発を促進するために、パートナーシップを継続することを発表している。Amazonの自動運転部門の縮小などが発表される中、Mobileyeは開発の手を緩める気は全くないようだ。
※編注:この記事は特定の株式銘柄への投資を推奨するものではありません。
【参考】関連記事としては「自動運転企業Mobileye、売上高38%増の619億円!Q3決算を発表」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)